キチン誘導物質によるマクロファージ活性化とその機序(外科学)

概要

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キチン・キトサンは創傷治癒促進剤として広く用いられているが,その機構については不明な点が多い.今回マクロファージに対するキチン・キトサンの作用を解析する目的で,マウス腹腔マクロファージ(PM)をキチン,キトサンおよび低分子キトサンにて刺激した.その結果,キトサンはPMに対してFcレセプター,主要組織適合遺伝子複合体クラスI(H-2D^d)およびII(I-A^d),マンノースレセプター,トランスフェリンレセプター,およびFasの発現増強,IL-8スーパーファミリーに属するmacrophage inflammatoryprotein 2の産生誘導を起こすことが認められた.またキトサンはFas-Fasリガンドシステムによるアポトーシスを誘導し,これらの作用はマンノースレセプターを介していることが示唆された.キチンおよび低分子キトサンに関しては,I-A^dの発現増強以外は認められなかった.ごれらの結果から,キトサンはマンノースレセプターを介して貪食されることでマクロファージを活性化し,創傷治癒を促進しているのではないかと考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
2005-01-25