マウスの生殖周期にともなう乳頭の組織学的変化

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生殖周期に伴っておこる乳頭の組織学的変化に関する詳細な知見を得るために, マウス乳頭内のS期細胞の動態をBromodeoxyuridine(BrdU)を用いて免疫組織化学的および形態計測学的に検索し, さらに上皮下間質部の変化も比較検討した.乳頭は, 処女期および妊娠期前半では鈍円錐形を呈し, 妊娠期後半から急激に大きくなり, 長さは泌乳5日目に処女期の約3.6倍を示した.また, 幅は泌乳20日目に, 面積は泌乳15日目に最大となり, それぞれ処女期の約2.6, 5.8倍を示した.乳頭を構成する表皮, 真皮および乳管洞の細胞数は妊娠期後半から急激に増加し, 泌乳15日目に最大になった.細胞密度は表皮と真皮では妊娠期前半に処女期より有意に高くなったが, 泌乳期には低かった.乳管洞上皮の細胞密度は全ステージで有意差はなかった.BrdU陽性細胞の割合は表皮では妊娠10-18日目に, 乳管洞上皮では妊娠10, 15日目に処女期よりも有意に高くなり, 泌乳期以降は処女期と有意差はみられなかった.真皮では妊娠期後半に陽性細胞の割合が高くなる傾向がみられた.また, 真皮内の膠原線維および弾性線維は泌乳期に増加していた.以上の結果より, 生殖周期に伴って乳頭の各構成部位の成長のパターンが異なり, 表皮および乳管洞上皮では主に妊娠期の細胞増殖で成長すること, 真皮では妊娠期の細胞増殖の時期と, 泌乳期の細胞間質の増加する時期があることが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
1998-04-25

マウスの生殖周期にともなう乳頭の組織学的変化

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