湛水条件下での数種粒剤におけるナプロアニリドの減衰と除草効果
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概要
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湛水条件下でのナプロアニリドの拳動を, 浮遊性担体を含み水中溶出性の高い粒剤(1キロ粒剤-A), それを含まず溶出性の低い粒剤(1キロ粒剤-B)および3キロ粒剤を用い, 比較検討した。ナプロアニリドの水中濃度は, 1キロ粒剤-Aを処理した場合, 処理後30分以内に上昇した。その後濃度は低下し, 処理1日後には他の粒剤と同程度になった。一方, 1キロ粒剤-Bおよび3キロ粒剤の場合は, 試験期間を通じて濃度は低かった(Fig. 2)。土中濃度は, いずれの粒剤でも半減期約8日で, 差はなかった(Fig. 3)。これらの結果から, 湛水条件下でのナプロアニリドの減衰速度は, 溶出性にかかわらず一定であることが判明した。加えて, 粒剤を水中に処理し, 太陽光によるナプロアニリドの分解速度と, 暗所における微生物分解速度を比較したが, 粒剤型間に差は見られなかった(Figs. 4, 5)。発生前処理におけるコナギに対する除草効果には差が見られ, 1キロ粒剤-Bのそれは, 他の粒剤に比べ低かった(Fig. 6)。この原因を探るため, 1キロ粒剤-Aと1キロ粒剤-Bを湛水土壌に処理し, 土壌を粒剤の落下地点を含むものと, 含まないものの2種類の部分から採取して(Fig. 1), 土壌表面におけるナプロアニリドの分布を調べた。落下地点を含む土壌では, 両粒剤においてコナギを枯殺するのに十分なナプロアニリドが検出された。これに対して, 落下地点を含まない土壌の場合, 1キロ粒剤-Bで濃度は箸しく低く(Fig. 7), これが本粒剤の効果が低くなる原因と考えられた。以上の結果から, 溶出性の異なる粒剤において, 光分解や微生物分解に起因するナプロアニリドの減衰速度には差はないものの, 本化合物の土壌表面における分布の均一性によっては, 除草効果に差が生じることが示唆された。
- 日本雑草学会の論文
- 1999-04-30
著者
-
岸 大輔
三井化学ライフサイエンス研究所
-
平瀬 寒月
三井化学
-
江田 貞文
三井化学(株)ライフサイエンス研究所
-
平瀬 寒月
三井化学ライフサイエンス研究所
-
江田 貞文
三井化学ライフサイエンス研究所
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