水溶性フィルムに充填した投げ込み用ナプロアニリド水和剤の水中拡散性および除草効果
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概要
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著者らは水田用除草剤の散布省力化のため事畦畔から散布機を用いず手で投げ込む製剤, いわゆる投げ込み製剤の研究を行なっている。その中で除草剤の水和剤を水溶性フィルムに充填したものが比較的高い効果を示すことを見出したので, 除草剤ナプロアニリドを用い, 種々の製剤検討を行なった。浮遊性担体であるシルセル(中空性ガラス粒子)を含有するナプロアニリド水和剤をポリビニルアルコール製フィルムに充填し投げ込み製剤を得た。製剤中のシルセルの配合量を変化させ, 製剤の水面浮遊時間を調べたところ, シルセル含量が増すにつれて浮遊時間も増加した。シルセルを含まない製剤では浮遊時間が1.1分であるのに対し, 10%含むものでは3.5分, 12〜16%含むものでは5分以上, 18〜20%含むものでは水和剤が完全に分散するまで沈降することはなかった。また投入地点における沈降した水和剤の残渣の量はシルセル含量が増すにつれて減少し, シルセル含量が18%以上では, 投入した水和剤の数%が残渣として認められるだけであった(Table 2)。またナプロアニリドの水中溶出はシルセル含量の増加とともに高まり, シルセル含量が14%以下ではナプロアニリド水中濃度が1.0ppm以下, 16〜20%では1.2〜1.6ppmであった(Fig. 1)。このようにシルセル含量が増え, 製剤の水面浮遊時間が増加することがナプロアニリド水中溶出の促進の重要な要因であると考えられる。次に温室内の長さ3.5m, 幅29cmの試験区の一端に投げ込み製剤を投入し水中拡散およびコナギに対する除草効果を調べた。いずれの製剤でもナプロアニリド水中濃度は搬入後0.5時間に比べ8時間の方が低かった。また投入地点から離れるにしたがってナプロアニリド水中濃度は低下した。シルセル舎量が0〜14%の製剤ではナプロアニリドの拡散はわずかであったが, これを20%含有するものでは拡散性は良好であった。また投入点付近での水中濃度はシルセル含量20%の場合に著しく高く, 後にこれらが拡散していくものと考えられる(Fig. 2)。除草効果については, シルセル含量が0〜14%の場合, 投入地点付近にしか十分な作用が見られなかったが, 20%の場合は試験区全面で高い効果が見られた。以上の結果から本投げ込み製剤中の浮遊性担体の配合量は, 製剤の浮遊性, 有効成分の水中拡散および除草効果に大きく影響することが判明した。また本製剤は水田雑草防除における除草剤散布省力化のための有効な手段となる可能性も示唆された。
- 日本雑草学会の論文
- 1995-08-31
著者
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平瀬 寒月
三井化学
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平瀬 寒月
三井東圧化学
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下野 聖一
三井東圧化学株式会社ライフサイエンス研究所
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浅野 保
三井東圧化学株式会社ライフサイエンス研究所
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平瀬 寒月
三井化学ライフサイエンス研究所
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下野 聖一
三井東圧化学(株)ライフサイエンス研究所
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下野 聖一
三井東圧化学
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浅野 保
三井東圧化学(株)ライフサイエンス研究所
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