ナプロアニリド発泡性錠剤の水中拡散性およびNOPの生成
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概要
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著者らは水田用除草剤施用の省力化を目的とした発泡性錠剤の研究を行なっている。炭酸塩と固体酸を含有する小型のナプロアニリド発泡性錠剤(NBT)を試作し,ガラス温室内に設置した水槽(29cm×3.5m)を用いてナプロアニリド[2-(2-naphthyloxy)propionanilide]およびその加水分解産物であるNOP[2-(2-naphthyloxy)propionic acid]の挙動を調べた。水槽の一端にNBTを処理し,処理後0.5hrのナプロアニリド水中濃度を調べたところ,処理点から1.5m以内では0.06ppm以上のナプロアニリドが検出され,この範囲では水深2cmの方が6cmの場合より濃度が高かった(Fig.1)。処理点から1mおよび2.5m離れた地点でのナプロアニリドおよびNOPの水中濃度を経時的に調べたところ,ナプロアニリドは1m地点では処理後0.5hrで2.5m地点では処理後4hr最高の濃度に達した。1m地点では初期に水深2cmの方が6cmの場合よりも水中濃度が高いが,後に水深による差はなくなった。また2.5m地点では水深6cmの方が2cmよりも濃度が高かった(Fig.2)。この結果からナプロアニリドは処理点に近い場所では水深が浅い方が水中に高濃度存在し,処理点から遠い場所へは,水深が深い方が拡散しやすいと考えられる。またNOPは1m地点および2.5m地点で,処理後48hrで最高の水中濃度を示した。この場合,どちらの地点でもナプロアニリドよりかなり高い水中濃度を示した。また水深2cmの方が4cmよりも濃度が高かった(Fig.3)。NOPはナプロアニリド自身よりも水溶解度が高いため水中拡散性が高いと考えられる。次に処理後96hrの土壌表面のナプロアニリドおよびNOPの濃度を調べた。ナプロアニリドの土壌表面濃度は,処理点からの距離にかかわらず水深6cmの方が2cmよりも高かった。一方,NOPの濃度は処理点から1m以内では水深2cmの方が高く,それ以上離れたところでは水深6cmの方が高かった(Fig.4)。この結果から,これら2つの化合物は水深が深い方が水中を広く拡散し,処理点から離れた地点でより多くの量が土壌表面に吸着されると考えられる。NBTのウリカワに対する除草効果は処理点に近く,水深が深いほうが高かった(Fig.5)。処理後0.5hrのナプロアニリド水中濃度と除草効果の関係を調べたところ,水中濃度が高いほど除草効果も高く,最小致死濃度は6cmでは0.2ppm,水深2cmでは0.35ppmであった(Fig.6)。
- 1995-02-10
著者
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平瀬 寒月
三井化学
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平瀬 寒月
三井東圧化学
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下野 聖一
三井東圧化学株式会社ライフサイエンス研究所
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浅野 保
三井東圧化学株式会社ライフサイエンス研究所
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平瀬 寒月
三井化学ライフサイエンス研究所
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下野 聖一
三井東圧化学(株)ライフサイエンス研究所
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下野 聖一
三井東圧化学
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浅野 保
三井東圧化学(株)ライフサイエンス研究所
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