コナギ(Monochoria vaginalis var. plantaginea)の種子発芽に対するイネ種子 (Oryza sativa L.) の他感作用

概要

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コナギ種子の発芽に対するイネ種子の影響を湛水バイアル試験で評価した。その結果, イネ種子はコナギ種子の発芽を明条件下では発芽最適温度である31℃を除く19, 23, 27および35℃の培養温度下で, 暗条件下では全ての温度域において促進した(Table 1)。さらに, イネ種子による発芽促進作用は採取年度の異なる休眠覚醒種子や休眠種子に対しても顕著に認められた(Table 2)。また, 供試した12品種のイネ種子はいずれもコナギ種子の発芽を明条件および暗条件下で促進し, 明条件培養区では品種間に発芽促進作用の程度に差異が認められたものの, 暗条件培養区では有意な差が認められなかった(Table 3)。本実験の結果から, イネ種子はコナギ種子の発芽を強く促進することが明らかとなったが, 発芽促進の要因としてイネ種子周辺の局在的な酸素欠乏状態およびイネ種子より水中に放出されるエチレンや二酸化炭素が大きく影響していることが考えられる。しかし, コナギ種子の発芽は暗条件下において酸素欠乏条件やエチレンおよび二酸化炭素処理で誘導されないことから, イネ種子より放出される促進的な他感作用物質の存在が示唆される。
日本雑草学会の論文
1997-11-25