鶏の消化管のアセチルコリンによる収縮反応性に及ぼすコクシジウム感染の影響 : 1. Eimeria tenella および E. acervulina 感染
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
コクシジウムに感染したヒナの摘出消化管を用い, Magnus 法によるアセチルコリン反応性を検討した. すなわち, Eimeria tenella および E. acervulina をそれぞれ経口的に一回感染させ, 臨床症状の極期と回復期について, 消化管各部位における原虫の寄生状態との関連において, 消化管の収縮反応を調べた. E. tenella 感染により, 宿主の盲腸の収縮反応は著しく低下し, 一部では弛緩する例もみられた. これは原虫が, 盲腸の粘膜筋板に至る粘膜下組織の層に寄生することと深い関係があるものと考えられる. しかし, 収縮反応は寄生部位でない小腸下部でも低下し, 回復期の小腸上部では逆に亢進した. E. acervulina 感染では, 原虫は十二指腸から小腸中部にかけて, 絨毛上皮細胞内に寄生する. 小腸上部の収縮反応は, 症状の極期には亢進し, 回復期には低下する傾向にあった. 感染部位でない盲腸や直腸では影響がみられなかったが, 小腸下部では低下した. このように, 消化管各部位の収縮反応性は, 原虫の寄生によって直接的な影響を受けた. また, E. tenella 感染と E. acervulina 感染では, 影響の受けかたに相違がみられた. 症状の軽重(感染量の多少)と収縮反応との関連性は, E. tenella 感染の回復期の小腸以外では認められなかった. 両種の寄生部位でない小腸下部で, 収縮反応が著しく低下したこと, E. tenella 感染により, その寄生部位でない小腸上部にも影響が認められたことは, 感染の影響が決して局部的でなく, 消化管全体の運動能にも及ぶことを示唆しているものと考えられる.
- 1974-10-25
著者
-
及川 弘
塩野義製薬(株)油日ラボラトリーズ
-
及川 弘
塩野義製薬
-
及川 弘
塩野義製薬(株) 実験動物研究センター
-
川口 陽資
塩野義製薬(株)油日ラボラトリーズ
-
川口 陽資
塩野義製薬油日ラボラトリーズ
関連論文
- Isospora felis感染マウスにおけるBabesia microti感染に対する感染防御免疫応答
- 野外より分離した Eimeria acervulina および E.tenellaのエンザイムバリエィション(短報)
- Isospora felis 実験感染ネコにおけるI. felisならびに Toxoplasma 抗体の産生(短報)
- Fluorescamineを用いる動物組織内残留Sulfisomezoleのけい光定量
- 4.Thiamine disulfideのイオウ誘導体(ビタミンB研究委員会 : 第242回会議研究発表要旨)
- 小動物の生殖と行動 (小動物の繁殖)
- Survey on Toxoplasma Infection in Stray Cats in Western Area of Japan During a Two-year Period
- アカゲザルおよびカニクイザルの自由摂水時における摂取水分量と尿量の関係
- 127 Methylsulfinylethylthiamine連続投与後の鶏生体内分布および卵内への移行(生理学・薬理学分科会)(第71回日本獣医学会記事)
- 70 Methylsulfinylethvlthiamineのニワトリに対する長期連続投与成績(家禽疾病学分科会)(第71回日本獣医学会記事)
- 69 実験的E.necatrix感染の発病,回復過程における臨床所見,臓器変化及び血液所見について(家禽疾病学分科会)(第71回日本獣医学会記事)
- 213 Methyl sulfinyl ethyl thiamineの抗ニワトリコクシジウム効果について (家禽疾病学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 212 Methyl sulfinyl ethyl thiamineの急性並びに亜急性毒性及びその抗コクシジウム効果のサイアミンによる拮抗について (家禽疾病学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 204 実験的E.tenellaおよびE.acervulina感染ニワトリの発病,回復過程における臨床所見,血液所見及び消化管病変について (家禽疾病学分科会)(第69回日本獣医学会)
- ネコ初期胚の体外培養と胚移植
- Toxoplasma gondii接種ネコにおけるIsospora felis抗体産生の増強
- ネコの実験的トキソプラズマ症 : シストならびにオーシスト経口接種ネコにおける体液性免疫応答
- Isospora felis慢性感染母ネコから仔ネコへの虫体移行の可能性
- 80 犬の発育に関する研究 : IV. 成長過程に於ける体重及び2,3の血液成分に及ぼす季節の影響と性差に関する要因分析
- 63 犬の発育に関する研究 : III. 成長に伴う循環血液量及び血液三成分の循環量の変化について (第61回日本獣医学会記事)
- 56 犬の発育に関する研究 : II. 仔犬の成長に伴なう赤血球数,血色素濃度及び血漿蛋白濃度の変化 (第60回日本獣医学会記事)
- 141 イヌの発育に関する研究 : I.飼育条件と成長曲線
- 日本のブロイラー産業におけるコクシジウム感染の調査(1974年および1975年)
- 日本のブロイラーにおけるコクシジウムの薬剤耐性に関する調査(1973年6月)
- 日本のブロイラー産業におけるコクシジウム感染の調査 : 1973年秋と冬, および綜合成績
- 日本のブロイラー産業におけるコクシジウム感染の調査- : 1973年春と夏の成績
- 209 コクシジウム病予防剤Methylsulfinylethylthiamine (MSIT)の野外試験成績(家禽疾病学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 実験的 Eimeria tenella および E. acervulina 感染鶏の臓器および血液の変化について
- Eimria tenellaのメロゾイトおよびオーシスト抗原を用いたELISAによる感染ニワトリ血清抗体の検出
- 鶏の消化管のアセチルコリンによる収縮反応性に及ぼすコクシジウム感染の影響 : II. Eimeria maxima と E. necatrix 間および4種の Eimeria 間の比較
- 鶏の消化管のアセチルコリンによる収縮反応性に及ぼすコクシジウム感染の影響 : 1. Eimeria tenella および E. acervulina 感染
- GPIおよびLDHアイソザイムによる Eimeria brunettiの分離
- Eimeria tenella早熟株の生物学的性状 : シゾゴニー期の原虫の発育と病原性について
- わが国における鶏コクシジウムのアイソザイム
- ネコの精子における蛍光陽性体fluorescence-positive bodyの検出
- 鶏コクシジウム症における感染様式と発病の程度ならびにオオシスト産生との関係-4-Eimeria praecox感染およびE.mitis感染
- 鶏コクシジウム症における感染様式と発病の程度ならびにオオシスト産出との関係-1-Eimeria acervulia感染およびE.tenella感染
- 鶏コクシジウム症における感染様式と発病の程度ならびにオオシスト産生との関係-2-Eimeria acervulinaとE.tenellaの混合感染
- 鶏コクシジウム症における感染様式と発病の程度ならびにオオシスト産生との関係-3-Eimeria maxima感染およびE.necatrix感染
- 190 ニワトリコクシジウム症(E.tenella 一部 E.acervulina)に対する Sulfa 剤と Trimethoprim の相棄効果について (家禽疾病学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 189 ニワトリのコクシジウム症に対する感受性 : 産卵鶏各種銘柄における病態生理的変化について(予報) (家禽疾病学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 208 実験的にEimeria tenellaを連続感染させた鶏の発病回復過程における臨床所見臓器変化血液所見および消化管病変について(家禽疾病学分科会)(第72回日本獣医学会記事)