移行抗体保有豚を用いた豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)ウイルスの実験感染
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概要
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PRRSウイルス感染に及ぼす移行抗体の影響を調べるために, コンベンショナル豚とSPF豚を用いて実験感染を実施した.10頭の移行抗体保有17日齢コンベンショナル豚と6頭の抗体陰性SPF豚に10^<5.0>TCID_<50>のPRRSウイルスを鼻腔内接種した.2頭のコンベンショナル豚と4頭のSPF豚は非感染対照豚とした.感染後コンベンショナル豚では発咳と発熱が認められ, 平均増体率は低下した.1頭は28日目に死亡し, 肺からHaemophilus parasuisが分離された.感染SPF豚でも発熱が認められたが, 増体率の減少は観察されなかった.コンベンショナル豚の1頭を除いた全ての感染豚の血清からコンベンショナル豚で感染後1-7週, SPF豚で1-4週ウイルスが分離された.感染後の血清からのウイルス分離開始時期が4頭のコンベンショナル豚では遅れた.65日目で剖検した5頭および死亡した1頭のコンベンショナル豚の臓器からウイルスが分離された.一方, 非感染コンベンショナル豚と感染および非感染SPF豚の臓器からはウイルスが分離されなかった.感染時, PRRSウイルスに対するコンベンショナル豚の間接蛍光抗体価は1:20であった.感染後抗体価は徐々に低下し, 感染後3-4週から上昇し9週目では1:160から1:640であった.中和抗体価は感染時1:2から1:4で, 感染後明らかな抗体上昇は認められなかった.対照豚では両抗体とも徐々に低下した.いっぽう, SPF豚では間接蛍光抗体は感染後1-2週で検出され, 感染後3-5週で1:320から1:2, 560を示した.中和抗体は感染後6-8週で検出され, 抗体価1:1から1:4で推移した.対照SPF豚では抗体は検出されなかった.移行抗体保有コンベンショナル豚におけるウレミーの期間延長と感染後65日の臓器からのウイルス分離を示した本成績は, 移行抗体保有豚のPRRSウイルス感染においてantibody-dependent enhancementの存在を支持していると考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
著者
-
柴田 勲
全農家畜衛生研究所
-
森 正史
全農家畜衛生研究所
-
宇留野 勝好
全国農業協同組合連合会家畜衛生研究所
-
宇留野 勝好
全農家畜衛生研究所
-
Shibata I
Zen‐noh Inst. Animal Health Chiba Jpn
-
Isao Shibata
Zen-noh Institute Of Animal Health
-
Shibata Isao
Zen-noh Institute Of Animal Health
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