鶏における網膜櫛の発生学的研究
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概要
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鶏の眼球内に見れらる網膜櫛の発生を走査型電子顕微鏡と光学顕微鏡を用いて観察した. 材料はHamburger-Hamiltonのステージ27(HH27)から成鶏までである. 網膜櫛は鳥類特有の構造で, 19から20枚のヒダ及びその先端を結ぶ「橋」からなり, 組織的には主に豊富な血管とその間を埋める色素細胞からなる. 鶏の網膜櫛の発生は4期に分けることができた. すなわち, (1)網膜櫛原基の形成(HH27-29), (2)薄板状の網膜櫛の形成(HH30-34), (3)ヒダの形成と色素の出現(HH35-37), (4)「橋」の形成と血管の急速な増加. 網膜櫛原基は眼杯裂の辺縁が内方に突き出して2列のヒダを形成し, ついでそれらのヒダが中心側から融合することによって形成される. 原基は急速に高さを増し, 比較的幅が広い基部を持った薄板状になる. ヒダはHH35で初めて網膜櫛の中央部に出現し, その数は急速に増し, HH40までに成鶏なみの数になる.「橋」はHH38で薄板状の遊離縁が肥厚することにより形成され, その完成は遅くとも孵化後20日までかかる. 血管は最初薄板状の網膜櫛の基部に出現し, 増加しながら網膜櫛の先端に向かって侵入する. HH43になると網膜櫛は血管の方が優勢になり, 以後血管の占める割合は着実に増加する. 網膜櫛の表面に分布する網膜櫛周囲細胞は今回観察したHH27で既に眼杯裂の縁に出現していた.
- 1990-06-15
著者
-
上原 正人
鳥取大学農学部獣医学科獣医解剖学研究室
-
上原 正人
鳥取大学獣医解剖学教室
-
上原 正人
鳥取大学農学部獣医学科家畜解剖学講座
-
北川 浩
鳥取大学農学部家畜解剖学講座
-
北川 浩
北海道大学大学院医学研究科分子生化学教室
-
Uehara Masato
Department Of Veterinary Anatomy Faculty Of Agriculture Tottori University
-
上原 正人
鳥取大学農学部家畜解剖学教室
-
大森 佐和
鳥取大学農学部獣医学科家畜解剖学講座
-
上嶋 俊彦
鳥取大学農学部獣医学科家畜解剖学講座
-
Kitagawa H
神戸大学大学院
-
北川 浩
神戸大学大学院自然科学研究科
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