グリコーゲンボディ細胞と神経との相互作用 : 共培養系を用いた観察(解剖学)

概要

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グリコーゲンボディ(GB)は鳥類の腰仙髄背側に存在し,グリコーゲンを多量に蓄積した均一なGB細胞から構成される.生体内において,このグリコーゲンは,インシュリン,グルカゴンあるいは副腎皮質ホルモンなどの様々なホルモン,あるいは飢餓などの生理的条件下でも変化しないとされてきた.我々はGB細胞の隠れた機能を明らかにするため,小脳神経細胞との共培養下でのGB細胞の形態的変化を光顕的ならびに電顕的に観察した.培養GB細胞を1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchlorate(DiI)で標識した後,小脳由来培養神経細胞と共培養した.共培養下では2型のGB細胞が観察された.一つは生体に見られる細胞と同様に,集塊を形成し,その細胞質に多量のグリコーゲンを含む細胞であり,もう一つは単独で神経細胞体あるいは軸索に接触し,突起を伸ばす細胞であった.後者の細胞が接する軸索にはしばしばシナプス小胞が観察された.今回の観察から,一部のGB細胞は神経細胞との接触によって,星状膠細胞の機能を発現することが示唆された.それらの細胞はシナプスの形成,あるいは成熟に関与することが推察された.
2006-10-25