モルモット回腸縦走筋のノルアドレナリンに対する収縮及び弛緩反応の発現に関与するアドレナリン受容体の薬理学的性質
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概要
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モルモット回腸の回盲接合部から口側へ3から10cmまでの部位(末端部)と30から40cmまでの部位(中間部)の縦走筋標本において, ノルアドレナリン(NA)で生じる機械的反応を等尺性に記録した. 末端部標本において, NA(0.16-1,600μM)は濃度依存性の収縮を惹起した. ED50値は11.9±4.3μMであった. 中間部標本では, 0.016-1.6μMの濃度範囲で弛緩が生じた. 16μMでは, 無反応か, 中等度の弛緩或いは小さな収縮が生じた. さらに高濃度では, 収縮が濃度依存性に生じた. 末端部標本における収縮効果はプロプラノロール(1.4μM), ヨヒンビン(1.1μM)或いは両薬物の併用によって影響を受けなかった. 中間部標本のNAの弛緩効果はプロプラノロール(1.4μM)で著しく減弱されるか或いは消失したが, ヨヒンビン(1.1μM)では影響を受けなかった. 両部位における収縮効果はプラゾシン(1.1μM)で抑制されて, 弛緩に転じた. プラゾシン存在下の0.16μMNAによる弛緩はプロプラノロールで消失したが, 1.6μMによる弛緩は抑制されなかった. メソキサミン(0.16-1,600μM)は両部位の標本を濃度依存性に収縮させた. EC50値は末端部で93.5±28.5μM(n=8), 中間部では83.3±27.7μM(n=10)であり, 両平均値の間に有意差はなかった. 本結果から, NAはモルモット回腸の末端部と中間部の縦走筋において収縮と弛緩を生じることが明らかになった. 収縮はα1受容体を介して発現し, 末端部において優勢である. 一方, 弛緩はβ受容体とまだ薬理学的性質が不明のアドレナリン受容体を介して発現し, 中間部において優勢であると考えられる.
- 1996-03-25
著者
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小森 成一
岐阜大学応用生物科学部獣医薬理学分野:岐阜大学大学院連合獣医学研究科病態獣医学連合講座
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小森 成一
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学教室
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海野 年弘
岐阜大学応用生物科学部獣医薬理学分野:岐阜大学大学院連合獣医学研究科病態獣医学連合講座
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大橋 秀法
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学研究室
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海野 年弘
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理
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Hasan Rafiqul
岐阜大学連合獣医学研究科病態獣医学連合講座
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大橋 秀法
岐阜大学農学部獣医学科薬理学講座
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