鶏の結直腸とRemak神経幹の抽出物中に存在する平滑筋抑制物質の性質
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概要
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鶏の結直腸の抽出物(ER)とRemak神経幹の抽出物(ERN)の両者には,アトロピン,メチセルジド及びピリラミンで処理したモルモットの回腸縦走筋に対して収縮作用に加えて弛緩作用も認められた。後者は,サブスタンスPで予め筋を収縮させて置くと明瞭に現れた。この抑制物質について検討した。254nmで紫外部吸収をモニターしながら,ERNのゲルろ過を行うと,弛緩活性は紫外部吸収の主ピークに一致した溶出旅画分に認められたので,ATP又はその関連物質による可能性について検討した。ATP,ADP.AMP及びAdenosineの中で,前二者にはERとERNに類似した弛緩作用があった。ATPなどがアルミナで吸着除去できることを確認した上で,ERとERNにアルミナ吸着操作を行うと,ERNの弛緩活性とUV吸収スペクトル上の254nmにおけるピークは共に消失した。ERの同活性は減弱した。加熱処理を1M塩酸液中で行うと,ERNとATPの弛緩活性は消失したが,ERの同活性は減弱されたに過ぎなかった。1Mの水酸化ナトリウム旅中では,ERの活性は減弱されたが,ERNとATPの活性はどちらも変わらなかった。ERの陽イオン交換クロマトを行うと,弛緩活性は三つの画分に分かれ,二つの画分の活性はキモトリプシン又はカルボキシペプチダーゼAとのインキュベーションにより失活した。以上の結果から,ERNの弛緩作用はATP又はその関連物質によること,ERの同作用には二つのペプチド様物質も関係していることが示された。
- 岐阜大学の論文
- 1985-12-15
著者
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小森 成一
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学教室
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松尾 呼野美
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学研究室
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大橋 秀法
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学研究室
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水谷 安津司
岐阜大学農学部獣医学科家畜薬理学研究室
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大橋 秀法
岐阜大学農学部獣医学科薬理学講座
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