不活化オーエスキー病ウイルスワクチンの経鼻接種によるマウスの感染防御
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概要
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不活化オーエスキー病ウイルス(ADV)をマウスの鼻腔内に接種することによって, 粘膜局所に抗ウイルスIgAおよびIgG抗体の分泌が誘導された. これらのマウスは鼻腔内への致死量のウイルス攻撃に対し, 完全な感染防御を示した. 不活化ADVにコレラトキシンBサブユニット(CTB)をアジュバントとして混合したワクチンはさらに強い免疫応答を誘導した. 一方, 不活化ADVワクチンを皮下に接種したマウスでは, CTBをアジュバントとして加えた場合でも, 粘膜局所抗体の分泌がほとんど認められなかった. これらのマウスはウイルス攻撃に対してわずかに抵抗性を示したのみで, 半数以上が死亡した. 以上の成績は感染粘膜局所の免疫応答を誘導することによって, 現行の不活化ヘルペスウイルスワクチンでは達成できない初期感染の防御が可能であることを示している. ヘルペスウイルスの初期感染を防御すれば, 潜伏感染およびその後の再活性化の問題も解決されるであろう.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1994-08-15
著者
-
喜田 宏
北海道大学大学院獣医学研究科微生物学教室
-
高田 礼人
北海道大学,人獣共通感染症リサーチセンター
-
喜田 宏
北海道大学獣医学部家畜衛生学
-
高田 礼人
疾病制御学講座微生物学教室
-
清水 悠紀臣
北海道大学獣医学部家畜衛生学講座
-
喜田 宏
北海道大学 大学院獣医学研究科
-
Takada Ayato
Department Of Disease Control Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
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