B6C3F_1マウスの精巣上体に認められた組織球性の腫瘍
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概要
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当施設で実施されたB6C3F_1マウスを用いた癌原性試験において, 110匹の雄動物中に精巣上体に限局した組織球系細胞の腫瘍が4例認められた. 癌原性試験の結果, 対象化合物の発癌性は否定的であったので, これらは全て自然発生病変であると考えられた. 病理組織学的には, 鋭い陥入を有する核を持つことの多い, 紡錘形から円形の, 組織球に類似した腫瘍細胞の充実性の増生が特徴であった. これらの内3例の腫瘍組織内に局所的な出血と, その部分でのerythrophagocytosisが認められた. これらの腫瘍には, 他の雌雄動物に明らかな悪性所見を伴って認められたhistiocytic sarcomaと, 組織学的に共通する点がいくつか見出だされた. しかしhistiocytic sarcomaで見られたような系統的な増生や細胞の強い異型性は, 精巣上体の腫瘍では認められなかった. 一方雌動物でも, 同様な組織学的特徴を備えた限局性の腫瘍が106匹中4例の子宮に認められた. この腫瘍がhistiocytic sarcomaの良性病変あるいは前段階病変とも考えられたことから, 精巣上体の腫瘍も同様病変として位置付けられるものと考えられた. 精巣上体の腫瘍にはやや悪性を示唆する所見が見られた例もあったことを考慮すると, この臓器を原発としてhistiocytic sarcomaが発生する可能性もあり得ることが示された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1993-04-15
著者
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田中 雅治
小野薬品工業株式会社 福井安全性研究所
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四宮 啓祐
小野薬品工業株式会社 福井安全性研究所
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板垣 伊織
小野薬品工業株式会社福井安全性研究所
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板垣 伊織
小野薬品工業株式会社 福井安全性研究所
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田中 雅治
小野薬品工業(株)福井安全性研究所
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四宮 啓祐
小野薬品工業(株)福井安全性研究所
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