物理化学的見地からのいわゆるヘドロの工学的性質について

概要

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ヘドロの物理化学的な特性を究明し, その土質工学的応用をはかる場合, 土性を決める主要因と考えられる有機成分について, それがいかなるもので, 無機成分とどのように相関しあっているかを解明するために, 大阪府堺港航路上に浮遊, タイ積した浮泥を試料として, 構成要素, 化学的性質, 物理的性質, 沈降特性, 力学的性質, 粒子間構造などを実験的に調べた。その結果, 用いたヘドロが粘土鉱物と有機物との複合体であり, 前者の含有比率からはカオリン系がイライト系の約2〜2.5倍量となっていることが判明し, またヘドロの陽イオン吸着量および塩基置換容量を表示して, その有機成分が高活性体であることを推論した。さらに比重やコンシステンシーに及ぼす有機成分の影響を明らかにし, 沈降特性において凝集作用の結果生じる安定な団粒が大きい役割を果たしていること, 力学的性質では圧密や強度特性において, 有機物の粘土粒子への吸着作用が支配的要因の一つであり, とくに二次圧密において巨視的な意味での有機物による項と吸着水による項との分離を行なうことができることなどを示した。
1974-09-15