草地畜産分野における「ダイオキシン類」の由来
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「ダイオキシン類」はpolychlorinated dibenzo-ρ-dioxins, polychlorinated dibenzofurans及びcoplanar-PCBの総称である。ダイオキシン類は種々の燃焼過程を通じて, 及びある種の塩素化合物の望ましくない副産物として発生する。結果として, ダイオキシン類は広く存在する環境汚染物質であり, 牛乳や牛肉を含む食品中に大変微量ながら存在する。今日, 食品はダイオキシン類の人間の暴露に関する最も重要な起源であると考えられている。食品連鎖へ入り込む経路は, 排出物の大気中での移動, 及びそれに引き続く植物, 土壌及び水への付着である。もっとも主要な食品起源は, 欧米諸国では脂肪を含んだ畜産物であり, それらが第2の重要な起源である日本では魚介類であると考えられる。日本における市販牛乳のダイオキシン類濃度は, 英国と同程度である。一般に, ダイオキシン類及び他の脂質親和性化合物は植物に吸収や転流されず, 食品残さや穀物由来の飼料は除外されるであろう。粗飼料多給の家畜は, 環境中からもっともダイオキシン類を蓄積しやすいと思われる。しかし依然, ダイオキシン類に関しては不明な点が多い。従って, 粗飼料が主要な家畜への暴露源であると言うことは, 適切な粗飼料のサンプリングや実態調査による立証を必要とする。我々は, 自らの技術革新を図るとともに, 社会に対してダイオキシン類の排出量の低減を働きかけて行かねばならない。
- 日本草地学会の論文
- 2001-04-15
著者
関連論文
- フリーストール牛舎における搾乳・乾乳牛の1日当たり糞尿排泄量
- フリーストール牛舎内におけるふん尿窒素の揮散損失
- 資源循環を基本とする酪農経営における物質循環の実態
- 選抜ヘテロ型乳酸菌株の添加がサイレージ調製・利用に与える影響
- 緑茶飲料製造残渣含有発酵TMRの発酵品質および乾乳牛における嗜好性
- 緑茶飲料製造残渣サイレージ混合TMRの泌乳牛における嗜好性に及ぼす主体粗飼料の影響
- 嗜好性に差のあるオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の品種における葉の表面に存在する化学物質の比較
- ウシにおける消化管内栄養素投与に対する成長ホルモン分泌反応
- 第一胃内へのプロピオン酸の投与時間の違いがウシの血漿成長ホルモンおよびインスリン濃度に及ぼす影響
- 感圧スイッチを用いた被乗駕行動測定装置による放牧牛の授精適期の推定
- 緑の葉のにおいを示す青葉アルコールと青葉アルデヒドに対するヤギの嗜好性
- シバ優占草地における植生条件と肉用牛の放牧行動との関係
- 草地畜産における技術革新-15-牛衣の装着による放牧牛の防暑・防寒・防雨・防虫機能の向上
- 日中に放牧した牛のルーメン内温度の変化と行動形
- 9-10 放牧牛の採食行動に関連する生理的試験に用いる模擬放牧採食装置の開発
- 9-1 チカラシバ侵入荒廃草地の重放牧による植生改善 : チカラシバ抑制に効果的な放牧強度の目安
- 7-10 γ線照射サイレージの嗜好性
- 古くて新しい飼料資源「しょうゆ粕」
- はじめに(飼料の安全・安心をどのようにかち獲るか?)
- 研究レポート1 サイレージの好気的変敗を抑制できる乳酸菌TM1株、TM2株
- トウモロコシ-アルファルファ短期輪作を基幹とする環境共生型酪農モデルの構築(予報)
- フリーストール牛舎ふん尿中のダイオキシン類濃度(乳牛・ヒツジの行動・生理と管理)(日本家畜管理学会・応用動物行動学会合同 2004年度春季研究発表会)
- トウフ粕及びビール粕を材料としたサイレージの微生物相及び発酵品質にγ線照射が及ぼす影響
- アルファルファ, オーチャードグラス, トウモロコシ及びソルガムのサイレージの微生物相及び発酵品質にγ線照射が及ぼす影響
- 嗜好性に差のあるオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の品種に含まれる揮発性物質の比較
- PIXE法による乳牛被毛中元素含量の生理的変動
- 草地畜産分野における「ダイオキシン類」の由来
- 飼料摂取量および注射痛が牛を音響誘導するための食餌性件反応に及ぼす影響