家そ類の生態に関する研究 : 2. ドブネズミの生息環境による体重, 胎児数の比較
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概要
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神奈川県下のゴミ埋立地, 鶏舎, 豚舎, 商店街および住宅街の計5地域で, 1965年から1970年にかけてとらえたドブネズミについて, 体重と胎児数の地域差を調べた.ネズミの年齢の指標として臼歯摩滅度(上顎第1〜3臼歯の摩滅面積)を用いた.結果の概要は次のとおりである.1) 体重と臼歯摩滅度は高い相関を示した.両者の回帰直線から, 体重の値は雌雄ともゴミ埋立地と鶏舎および豚舎が大きく, 商店街は小さく住宅街はさらに小さかつた.臼歯摩滅度を0.5ないし1.0(mm)^2毎に層別化すると, 各層に該当する個体の平均体重は, 雌雄ともいずれの層においても, ゴミ埋立地と鶏舎が大きく, 次いで豚舎が大きく, 商店街は小さかつた(住宅街は個体数が少なかつたので除いた).2) 妊娠個体が出現する臼歯摩滅度には地域差がみられず, いずれも約3.0(mm)^2であつた.しかし妊娠個体が出現する体重には地域差がみられ, 体重を20gずつ区分するとゴミ埋立地と鶏舎が最も大きく(160〜179g), 次いで豚舎(140〜159g), 商店街(120〜139g), 住宅街(100〜119g)の順であつた.3) 平均胎児数はゴミ埋立地が9.97, 鶏舎が9.79, 豚舎が8.30, 商店街が8.25であつた(住宅街は妊娠雌数が少なかつたので除いた).4) 以上から, 体重と胎児数は概してゴミ埋立地と鶏舎で優位が認められ, 次いで豚舎, 商店街, 住宅街の順になり, この地域差の原因として, 餌の量や質のほか, 人間等による外部からの干渉, 圧力が考えられた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1971-05-20
著者
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