福岡地方における日本脳炎媒介カの出現消長と保毒状況, 1964 年と 1965 年の成績
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概要
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福岡地方における日本脳炎媒介カ(コガタアカイエカーシロハシイエカ複合群)の出現消長と保毒状況に関する1964年および1965年の調査成績を1963年のそれと比較し, つぎのような考察を行なつた.1) 媒介カの出現消長には年による大差はなかつたが, 1965年には媒介カ個体群密度は晩夏から初秋にかけても比較的高い値を示したようである.2) 保毒カ出現時期は1964年, 1965年とも7月上旬から下旬にわたるおよそ4週間で, その後はなお多数の媒介カがみられたにもかかわらず保毒カを検出できなかつた.このことから, 自然界における保毒カの消滅は媒介カ個体群密度の低下によるものでなく, 感受性増幅宿主の欠乏によると考えられる.また当地方において保毒カが出現しはじめる時期はつねに媒介カ個体群密度が最高になる時期よりも先行し, この点において保毒カ出現様相は関東地方と著しく異なる.3) 保毒カが検出される時期と日本脳炎患者の発生時期にはそれぞれの期間の中央時を比較すると1963年と同様におよそ2週間のずれがあつた.1963年には, 保毒カ出現時期が1964年, 1965年に比しあきらかにおそく, これに呼応して日本脳炎ヒト流行も晩発型であつたが, あとの2年に比し流行がはるかに大型であつた点は疫学的にきわめて重要である.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1968-03-31
著者
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山本 英穂
福岡県衛生公害センター環境生物課
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真子 憲治
The Fukuoka Prefectural Institute Of Public Health
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山本 英穂
The Fukuoka Prefectural Institute of Public Health
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