セラム島およびアンボン島産ツノゴケ類の小コレクションについて
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概要
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セレベス島とニューギニアの間に位置するセラム島とアンボン島のツノゴケ類については,これまでほとんどわかっていなかった。今回,京都大学の秋山弘之氏によってセラム,アンボン両島で採集されたツノゴケ類標本21点を調べ,一新種(Dendroceros seramensis)を含む9種を確認した。D. seramensisはニューギニアから記載されたD. subdifficilisに非常によく似ているが,葉状体翼部の構造,〓壁の細胞の形状,胞子の大きさの違いによって区別することが出来る。Phaeoceros polyandrusはジャワ島からのみ知られていた稀な種であるが,アンボン島に生育しているのを確認した。本種はAnthocerosとして記載されたが,葉状体内部に空隙がなく,胞子が黄色なのでPhaeocerosに移した。葉状体背面を密に覆っている毛状の突起,やや肥厚した細長い弾糸,平滑で小さな胞子は本種を多種から区別する顕著な特徴である。残りの7種のうち,ボルネオからしか知られていなかったDendroceros foliicolaと世界中に広く分布するPhaeoceros laevis subsp. carolinianusを除いたあとの種は,すべて熱帯アジアと南太平洋地域に広く分布する種である。
- 日本植物分類学会の論文
- 1986-09-30
著者
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長谷川 二郎
南九州大学
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長谷川 二郎
南九州大学環境造園学部
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長谷川 二郎
Laboratory Of Environmental Botany College Of Horticulture Minami-kyushu University
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長谷川 二郎
南九州大・生物
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