東南アジア産の特異な胞子形態を有するニワツノゴケ属の1新種
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概要
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中南米に分布するPhaeoceros fimbriatusと非常によく似たニワツノゴケ属の植物を東南アジア産の新種Phaeoceros foveatusとして記載した.この新種は,P.fimbriatusとともに,胞子の遠心極面が規則的に配置された凹部の存在によって網目状になるという顕著な特徴を有しているが,P.fimbriatusからはその凹部の数が異なることによって区別することができる.P.foveatusは,フィリピン,ボルネオ,スマトラに分布することが確認されたが,これらのいずれの産地においても低地ではなく,標高1100mから3100mの山地で見つかっている.このことは,P.foveatusは生育地の特徴においても,中南米の標高の高い場所に生育しているP.fimbriatusと類似していることを示している.これらの事実から判断して,P.foveatusとP.fimbriatusはそれぞれ,東南アジアと中南米の熱帯地域の高地に隔離された近縁の種であると考えられる.なお,P.fimbriatusはこれまでコロンビアとコスタリカからしか知られていなかったが,今回,エクアドルにも分布していることを確認したので,併せて報告する.
- 日本蘚苔類学会の論文
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