雲南省に産するツリフネソウ属植物の核形態学的特徴
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
これまで中国雲南省から80種以上のツリフネソウ属植物が記載されているが, 1993年の南西部, そして1995年の南部地域調査で新たに9種が見いだされた。雲南省におけるツリフネソウ属草植物の核形態学的多様性は, 先の調査で多少わかってきたが, 同地域における著しい種分化を考えると情報は依然不十分といわざるをえない。そこで, 南部地域からの5新種を含む雲南省産15種の染色体数と核型を解析した。その結果, 染色体数は2n=14 (Impatiens kamtilongensis, I. wuchengyihii), 2n=18 (I. corcorifolia, I. luchunensis, I. maguanensis, I. porphyrea, I. racemosa, I. radiata, I. ruiliensis, I. uliginosa), 2n=20 (I. arguta), 2n=34 (I. clavigeroides), 2n=36 (I. linearisepala), 2n=40 (I. rubrostriata)あった。2n=14, 2n=34, 2n=36, 2n=40は, 雲南省に産する種では初めての報告である。先の雲南省南西部地域産に関する結果とを総合して考えると, 雲南省ではx(n)=9が最も普通で広く分布し, その核型は中部・東ヒマラヤ地域に産する種に強く類似することが示された。また, 雲南省南部から南西部地域にはx(n)=7, x(n)=8, x(n)=17の染色体数をもつ種が数多く分布するが, これらはインドや東南アジア南部地域からの拡がりを示していると考えられる。
- 日本植物分類学会の論文
- 1997-08-30
著者
関連論文
- 四国産アカショウマ類(ユキノシタ科チダケサシ属)
- マムシグサ群の多様性
- 本州北部に産する絶滅危惧種アオモリマンテマの花の形態と核形態の特徴
- 雌性両全性異株植物チョウカイフスマ(ナデシコ科)における柱頭の二型性, 花粉捕獲量, 種子生産に関する研究
- ヤブイバラ(バラ科)の地理的変異
- 推定2倍体交雑起源種エヒメテンナンショウにおける酵素多型
- ワカキノサクラのシュート構成
- 葉緑体遺伝子matKによるトチカガミ科の系統解析
- 植物分類地理学会記録 野外研修会
- 中国産テンナンショウ属の1新種Arisaema odoratum〔英文〕
- 皇居吹上御苑の維管束植物
- ミャンマー産Morinda villosa Hook. f.(アカネ科)の二型花柱性に由来する雌雄異株性
- 関東平野および後背山地を中心とする地域の自然史科学的総合研究
- 関東平野および後背山地を中心とする地域の自然史科学的総合研究 : 実施の目的と平成12年度調査研究の成果
- 新潟県とその隣県に分布するカンアオイ属植物, 特にコシノカンアオイとその近縁種に関する分類学的研究
- 五島列島福江島産カンアオイ属の一新種
- 雲南省に産するツリフネソウ属植物の核形態学的特徴
- 中国雲南省南西部産ツリフネソウ属10種の核型
- 東アジア産ウマノスズクサ属植物8種の染色体数
- メアカンフスマの形態・細胞学的変異と種内分類群についての分類学的再検討
- 屋久島産ツルリンドウ属の新種
- ハガクレツリフネとエンシュウツリフネソウの分類学的考察