中国雲南省南西部産ツリフネソウ属10種の核型
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概要
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中国雲南省からはこれまでに80種ほどのツリフネソウ属植物が報告されているが, 昨年(1993年9月)行なわれた南西部地域の調査で新たに4新種が確認された。本報では, これら4新種と同地域周辺で採集できた6種の核型について報告する。なお, 中国産ツリフネソウ属植物の染色体については初めての報告である。ツリフネソウ属では染色体数に大きな変異(基本数n=3-14,16,17,22,24,33)が認められることが知られていたが, 今回調査した雲南省産10種においても, 2n=12(I.aureliana), 2n=16(I.begoniifolia, .I.mengtszeana, I.yingjiangensis), 2n=17(I.mengtszeana), 2n=18(I.racemosa, I.ruiliensis, I.siculifera, I.tonbiguanensis, I.uliginosa), 2n=20(I.rubrostriata)という染色体数が各種で確認され, 複雑な変異の様相を示していることが明らかになった。しがし, 同じ染色体数をもつ種間では, 核型に違いが認められず, 染色体数2n=12,17,18,20の核型はいずれもbimodal(核型を構成する染色体の2本が目だって大きく, 残りは小さい)で, 2n=16のmonomodal(染色体がほぼ同様な大きさ)な核型とは里なっていた。最後に, これらの種と周辺地域分布種との類縁関係について考察した。
- 日本植物分類学会の論文
- 1995-04-28
著者
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邑田 仁
東京都立大学理学部附属牧野標本館)
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邑田 仁
東京大学理学部附属植物園
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秋山 忍
国立科学博物館植物研究部
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楊 永平
中国科学院昆明植物研究所
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菅原 敬
信州大学教養部生物学教室
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秋山 忍
東京大学理学部附属植物園
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