浮稲の主稈および分げつにおける窒素の吸収と分配に及ぼす水位上昇の影響
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概要
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窒素の動態からみた浮稲の深水への対応様式を明らかにする目的で, 伸長最低節間の位置が異なる浮稲品種Habiganj Aman II(HA)およびCu La(CL)を供試し, 一日当りの水位上昇速度が0cm(対照区), 4cmおよび8cmの下で栽培した浮稲の主稈および分げつ別並びに器官別の窒素含量を調べた.また, 一定の時期に重窒素(^<15>N)を与え, その吸収と移行について調べた.全窒素含量は両品種ともに主稈と下位節の1次分げつで高く, CLの8cm区では上位節の1次分げつと2次分げつで減少した.また, 器官別では葉身が最も多く, 全窒素量の約50%を占めていた.^<15>Nは^<15>N処理期間中に存在する全ての茎に吸収されるが, その含量は水位上昇速度が大きいほど小さかった.主稈と下位節の1次分げつによる^<15>N吸収量は全^<15>N量の70%以上を占め, ^<15>Nを最も吸収した器官は葉身であった.^<15>N処理終了後6日間の茎別の両窒素種の推移をみると, 対照区では主稈および下位節の1次分げつの^<15>Nが減少するのに対し, 上位節の1次分げつと2次分げつでは増加した.4cm区の^<14>Nは下位節の1次分げつで最も増加した.8cm区では主稈でのみ^<15>Nが増加し, CLでは両窒素ともに全ての分げつで減少した.器官別にみると, 葉身ではCLの8cm区を除いて両窒素種とも増加し, 葉鞘ではいずれの区においても^<14>Nが増加するのに対し, ^<15>Nは減少した.HAの稈では^<14>Nは増加するが, ^<15>Nはほとんど変化しなかった.以上のことから, 水位上昇下の浮稲は窒素に対するシンクの中心を主稈あるいは下位節の1次分げつの葉身に置くことで個体の生長を維持していくものと考えられた.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1990-03-01
著者
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