血管内皮依存性因子,特に一酸化窒素と高血圧
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概要
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血管内皮が内皮依存性弛緩因子(endothelium derived relaxing factor,EDRF)を遊離して血管平滑筋を弛緩させていることは1980年,Furchgott and Zawadzkiによって発表されて以来,急速に研究が進み,弛緩因子が一酸化窒素(NO)であり,平滑筋の可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化して細胞内サイクリックGMPを増量させ弛緩させることも明らかとなった.その後の研究で弛緩因子としてプロスタグランジンI_2(PGI_2)なども内皮から遊離され,弛緩活性を持っていることが明らかとされたが,一般に弛緩因子と言えばNOを意味する.血管内皮はこの弛緩因子の他に収縮因子や過分極因子を遊離することが明らかとなってきた.収縮因子としてはエンドセリンやアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ経路の代謝産物(トロンボキサンA_2(TXA_2)あるいはプロスタグランジンH_2(PGH_2)が考えられている)がある.過分極因子については異論があるところで,本体は不明のままである.高血圧患者あるいは高血圧動物の血管ではこの内皮依存性弛緩の障害があり,刺激薬などによる血管平滑筋の収縮が亢進していることが知られている.この内皮依存性弛緩の障害の機序としては,1)内皮由来弛緩因子の遊離減少,2)内皮由来収縮因子の遊離増加,3)内皮由来過分極因子の遊離減少などが考えられる.いずれにしても,内皮依存性弛緩の障害は血管抵抗の増加につながり,血圧上昇の原因となり得る.実際に,内皮依存性弛緩の障害を高血圧の原因とする考えもあるが,少なくとも血圧上昇の一因となり得ることは確かである.ここでは,血管内皮と高血圧について考えてみたい.
- 2003-07-01
著者
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