胸部単純X線写真におけるエッジ強調画像を利用した患者自動認識法の開発(原著)

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近年,実用的なPACS (picture archiving and communication system)が急速に普及している. PACSの環境下で発生した多量のディジタル画像を有効に活用するためには,すべての画像力PACSサーバの中の正しい電子フォルダに保存されることが重要である.しかし,ID番号や氏名など画像に付帯する患者情報を誤って入力したり,患者の取り違えミスが発生すると,撮影した画像は,異なった患者の画像として間違った患者の電子フォルダに保存される.このようなファイリングミスが発生したことをその場で気が付くことは稀であり,たとえ誰かが気付いたとしても,一度誤って保存された画像を正しい電子フォルダに保存し直す作業は非常に手間がかかる.ファイリングミスは,後で特定の画像を呼び出そうとしたときに見つからなかったり,医師がファイリングミスに気が付かなければ,読影を行うときに異なる患者の画像を参照する可能性がある.したがって画像を電子フォルダに保存する前に,コンピュータが自動的にファイリングミスを見つけ出し,警告を発するような患者の自動認識法を開発する必要がある.そこで,われわれは,撮影頻度が最も高い胸部単純X線写真(正面像)を対象として, PACSに保存しようとする画像(現在画像)と,それを保存しようとする電子フォルダに存在する過去に撮影された画像(過去画像)との類似度をテンプレートマッチングの手法を利用して調べ,同じ患者か異なる患者であるかをコンピュータが自動的に判別し,異なる患者であると判別した場合には警告を発するシステムの開発を行っている.初期の研究成果では,同じ患者の現在画像と過去画像からコンピュータが誤って異なる患者と判別することなしに,異なる患者の現在画像と過去画像に対して約半数を正しく異なる患者と認識できる良好な結果が得られている.本研究ではこれまでに開発した患者自動認識法(以下,従来法)の精度の向上を目的として,Sobelフィルタによるエッジ強調を行った前処理画像から得られる類似度を用いる手法を提案し,この手法の有用性について述べる.
社団法人日本放射線技術学会の論文
2003-10-20

胸部単純X線写真におけるエッジ強調画像を利用した患者自動認識法の開発(原著)

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