Al蒸着膜の付着力に及ぼす蒸着速度制御パターンの影響

概要

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蒸着速度を3種類のパターンに制御し,ガラス基板にAl蒸着を施した後,引っかき法により付着力を測定し,蒸着速度制御パターンが付着力に及ぼす影響について検討した. その結果,蒸着速度を1〜10nm/sで一定制御した場合,付着力は蒸着速度に大きく依存し,約3倍の増加を示した.次に蒸着速度を0.01〜0.05nm/s^2の割合で加速度制御した場合,付着力は蒸着加速度および最終到達蒸着速度にも影響を受けず,すべての試料についてほぼ同じ値を得た.更に,蒸着速度を2段階のステップ状に制御し,初期に形成される膜の蒸着速度を常に1nm/sとし,後期に形成する膜の蒸着速度を3nm/s,6nm/sおよび9nm/sと変えて組み合わせ,初期および後期の膜厚比も変えた. その結果,初期の膜厚の増加と共に付着力は減少し,ついには初期の膜厚約50nmで後期の膜の影響がなくなるなど興味深い結果を得た.更に付着力と膜組織との関係についても検討を加え,付着力の強いものほど結晶粒子径が大きいことなどがわかった.
1996-02-25