仮想人物の表情変化に伴う社会的応答の変容

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近年のCG処理技術の発展により、自然な人の顔とその表情をCGによって合成することが可能になってきた。一方で人はコンピュータや複雑な機械など心的情報を伴わないものに対しても無自覚的に対人的な反応をしてしまうことがあるということからCGで合成された顔に対してはより強く対人的反応が誘発される可能性が高いと考えられる。そこで本稿ではコンピュータの心的状態をCG人物像の表情の変化が、人の対人的な態度にどのような影響を及ぼすかをCG人物像と社会的なモラルに関する話題について音声対話を行なわせる心理実験によって明らかにした。その結果、人はCG人物像の質問への応答をした直後に、CG人物像が快表情を示した場合、その後のCG人物像の質問に対する応答はCG人物像が快表情を表示するような応答をする傾向が観察された。また、逆に人とCG人物像の応答の結果CG人物像が不快表情を示した場合は、その後の質問に対する応答はCG人物像が不快表情を表示するのを避ける対話戦略を無意識に行っていたことがわかった。これらの実験結果から、人はCG人物像の表情変化から相手の心的状態を推察し、友好な関係を維持することを指向した社会的インタラクションを成り立たせていたことが示唆された。
2002-01-18

仮想人物の表情変化に伴う社会的応答の変容

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