シータ位相歳差の2成分仮説から見た海馬のダイナミクス
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
海馬において観察されるシータ位相歳差現象について、Yamaguchi and McNaughtonは場所細胞の活動の2成分仮説を提案した。本研究では、海馬の場所細胞の活動が示すこの2種類の成分について、位相空間座標における実際のスパイクの分布データを2つのガウス分布で近似することによって、それぞれの特徴と、その領野による違いを定量的に明らかにすること試みた。その結果、第1の成分は約半周期分に渡って位相と空間が負の相関をもって現れる成分で、DGとCA1に共通に見られるが、DGの方が0.2周期分位相進みである。第2の成分は残りの半周期に現れるもので、位相と空間には相関がない。以上より、時系列コードに関わるとされる位相歳差は第1の成分に限定されることが結論された。さらに第1の成分は海馬閉回路内で伝播することが示唆された。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2001-03-16
著者
-
山口 陽子
独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター創発知能ダイナミクス研究チーム
-
山口 陽子
科学技術振興事業団 CREST
-
青田 佳人
科学技術振興事業団(JST)CREST 「脳を創る」
-
Lipa Peter
University of Arizona, ARL Division of Neural Systems, Memory and Aging
-
早福 太郎
東京電機大学 理工学部 情報科学科
-
McNaughton Bruce
University of Arizona, ARL Division of Neural Systems, Memory and Aging
-
Lipa P
Jst‐crest
-
山口 陽子
東京電機大学理工学研究科:(独)理化学研究所脳科学総合研究センター
-
Mcnaughton Bruce
University Of Arizona Arl Division Of Neural Systems Memory And Aging
-
Lipa Peter
University Of Arizona Arl Division Of Neural Systems Memory And Aging
-
青田 佳人
独立行政法人科学技術振興機構(jst)crest「脳を創る」:理化学研究所脳科学総合研究センター
-
山口 陽子
理化学研究所脳科学総合研究センター、科学技術振興事業団
関連論文
- 複雑系としての脳の情報原理を探る
- エピソード記憶編集による学習アルゴリズムの経験累積効果と課題構造の関係
- エピソード記憶編集による学習アルゴリズムの経験累積効果と課題構造の関係(セッション4)
- 6)ホロビジョンの並列化構成の検討(情報入力研究委員会)
- ホロビジョンの並列化構成の検討 : 画像入出力 : 情報入力
- 神経系、筋骨格系、環境の間でのリズムの引き込みによる歩行運動の自己組織的生成(研究会「複雑系」,研究会報告)
- エピソード記憶による迷路課題の経験学習アルゴリズム(「脳・認知科学」及び一般)
- 色の主観的な好みに関する脳波リズム (ヒューマンインフォメーション・コンシューマエレクトロニクス)
- ヒト物-場所連合記憶における海馬の神経ダイナミクス : 理論-実験の統合アプローチ(脳インタフェース(感覚応答など),脳インタフェースの技術と応用,一般)
- 海馬シータ位相コードによる場所の曖昧性を含む異なるエピソードの学習
- リズムから探る脳の記憶--物-場所連合記憶を操る海馬神経リズムの同期 (特集=リズムが創りだす生命のしくみ)
- 3P244 海馬シータ位相コードによる場所の曖昧性を含む異なるエピソードの学習(神経回路・脳の情報処理)
- 海馬場所細胞のシータ位相歳差の経験依存的な変化における2成分仮説の検討
- Y-maze alternation taskにおける海馬神経活動のエピソード表現 : 海馬シータ位相歳差モデルによる解析
- シータ位相歳差をもつ海馬神経回路における場所の時系列の記憶 : 走る速度に依存した学習則
- population codingとしてのシータ位相歳差における時系列貯蔵の特性
- シータ位相歳差の2成分仮説から見た海馬のダイナミクス
- 化学振動子-力学結合系としての粘菌の環境適応モデル
- 海馬シータ位相歳差モデルにおける記憶の記銘と想起
- 海馬シータ位相コードによる認知地図生成のモデル
- 3PD002 海馬シータ位相歳差のモデルを用いた記憶の記銘と想起の研究
- 3PD001 音声認識の神経機構に関する波動ソナグラム仮説 : 波動伝播の引き込みと特徴結合
- 3SF05 5. 海馬シータリズムの位相コーディングによる認知地図の生成 (複雑系としての脳の情報原理を探る)
- ラット空間探索時海馬シータリズムの位相コーディング
- 粘菌の走性における化学振動子-力学系モデル
- 加熱損傷を受けた腸管出血性大腸菌O157の増菌培養の基礎的検討
- 閉鎖子音のフォルマントのもつ構造(聴覚・音声・言語とその障害, 一般)
- ゲシュタルト原理に基づく音声認識の神経回路モデル(聴覚・音声・言語とその障害, 一般)
- 閉鎖子音のフォルマントのもつ構造
- ゲシュタルト原理に基づく音声認識の神経回路モデル
- 化学振動子-力学結合系としての粘菌の環境適応モデル
- 心筋リズムと血流の相互引き込みとしての心臓拍動
- 身体図式を基礎とした動的イメージの生成の脳内メカニズム(1)(脳のモデルと生物模倣情報処理1,生物模倣情報処理,機械学習,一般)
- 色の主観的な好みに関する脳波リズム(マルチモーダル,感性情報処理,視知覚とその応用,一般)
- リズムが刻む脳のコンテキスト情報
- 1U24 4 聴覚神経回路モデルにおける波動ソナグラム
- 心血管系の血液循環を考慮した心臓拍動モデルによるl/fゆらぎ
- エピソード記憶編集による迷路課題の学習アルゴリズムの提案
- エピソード記憶による迷路課題の学習アルゴリズムの提案
- 課題に依存したヒト脳波シータリズムの時空間コヒーレンス解析
- 聴覚皮質神経回路の波動伝播活動
- 海馬場所ユニット位相歳差の波動伝播モデル
- 神経回路の波動伝播性としての時系列情報
- 同期現象から探る認識と記憶の情報構造
- シータ波とアルファ波を用いた運転技能の向上に伴う喜びと満足度の推定
- 身体図式を基礎とした動的イメージ生成の脳内メカニズム(3) : 内嗅野グリッド細胞を考慮した空間情報処理の計算論
- 環境に適応する心臓 : 開放系としての心臓の拍動リズム(創立100周年記念 不思議な現象)
- 主観的な好みに影響されたワーキングメモリの神経機構(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
- 協調タッピング課題時の「間(ま)」に関する2名の脳リズム解析(コミュニケーション支援,一般)
- 協調タッピング課題時の「間(ま)」に関する2名の脳リズム解析(コミュニケーション支援,一般)
- 位相振動子神経回路における平衡点解析
- 海馬体閉回路における記憶生成の位相制御
- 位相神経素子を用いた連想記憶回路のダイナミックス
- フィードフォワード結合多層振動神経回路の学習モデル
- 人と人のタッピング同期に関連した2者間の脳波リズム同期 (ヒューマンコミュニケーション基礎)
- 身体図式を基礎とした動的イメージ生成の脳内メカニズム 5 : 内嗅野グリッド細胞のモジュラスコードからガウス法を用いてhoming vectorを求める手法の提案
- 二者交互タッピングにおける協調リズムの生成 : 位相応答曲線モデルを用いた解析
- 人と人のタッピング同期に関連した2者間の脳波リズム同期(「行為のタイミングとコミュニケーション」及び一般)