選択的注意に関するモデル研究 : 視覚野における発火同期の必要性(<特集>「脳・認知科学」及び一般)
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概要
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Fries,Reynolds,Rorie,and Desimone(2001)において,V4における選択的注意メカニズムに,ニューロン群の同期した発火が関連している可能性が示された.本研究では,Niebur & Koch,(1994)および齋木(2002)と類似の構造を持つV2-V4ネットワークをパルスニューロンモデルにより構築した.シミュレーション実験の結果は,V4細胞で観察されたSTAパワーは,入力として与えられるパルスの入力周波数に依存している可能性を示唆した.さらにV2-V4ネットワークモデルにおいて,選択的注意の効果を,SN比の改善として実装した.すなわち,ある視覚刺激Aに対して注意をすることは,その刺激Aを選好刺激としないニューロンの活動を抑える事により,刺激Aに依存した信号が相対的に増強されることに対応する.このような仮定に基づくモデルを構築しシミュレーションをおこない,V4ニューロンの活動を分析した.その結果,Fries et al.(2001)で得られたのと同様のSTAパワー分布が観察された.本モデルでは発火を同期させるメカニズムを仮定していないにも関わらず,Fries et al.(2001)と定性的に等しい結果が得られた事は,同期したニューロン発火による注意効果を支持すると思われたFries et al.(2001)の結果は,発火同期とは関係の無い情報処理過程で生じた副産物に過ぎない可能性を示唆する.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2004-01-20
著者
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齋木 潤
科学技術振興機構:京都大学
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齋木 潤
Graduate School Of Human And Environmental Studies Kyoto University
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小池 耕彦
京都大学大学院人間・環境学研究科
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齋木 潤
京都大学 人間・環境学研究科
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齋木 潤
科学技術振興機構
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