イオン電流モデルに基づく心筋興奮伝搬過程のシミュレーション解析 : 2次元Hexagonalモデルによる異方向性の表現

概要

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心筋組識での興奮伝搬過程には,活動電位の伝搬方向(細胞の長軸・短軸)の違いに依存して活動電位の形状が変化する異方向性が存在する.従来,異方向性を説明するために多くのシミレュレーション解析が進められてきたが,それを表現し得る生理学的にも妥当なモデルはいまだ構築されていない.本論文では,興奮伝搬過程の空間特性に対して興奮伝搬モデルの構造が重要な役割を果たすと考え,一つの細胞が周囲の6個の細胞とgapコンダクタンス(g_<gap>)により離散的な結合する2次元細胞ネットワークモデル(Hexagonlモデル)を構成した.更に,ネットワーク構造が伝搬特性に及ぼす影響を調べるために,1次元および2次元格子状構造のモデルを構成し,シミュレーションを行った.その結果,Hexagonalモデルはg_<gap>が実験結果と良い一致性をもち,生理学的知見を満たす範囲で初めて異方向性を表現できることがわかった.更に,興奮伝搬モデルの幾何学的構造が,活動電位のダイナミックスなどの伝搬特性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった.
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-09-25