Hodgkin-Huxley型細胞ネットワークモデルのシミュレーションにおける自動刻み幅数値積分法の改良

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Hodgkin-Huxleyモデルに代表されるイオン電流モデルのシミュレーションにおいては,自動刻み幅数値積分法が有用とされている.しかしながら,細胞ネットワークモデルを用いた心筋興奮伝搬過程のシミュレーションなど,活動電位が発生し急しゅんに応答が変化する時相の細胞と,静止状態にある細胞が一積分区間において同時に存在する場合,汎用の自動刻み幅法では,前者に合わせた小さな刻み幅ですべての細胞モデルの計算が行われる.そのため,後者は不必要に小さな刻み幅で計算され,特に大規模モデルのシミュレーションにおいて膨大な計算時間を要するという問題点があった.本論文では,ルンゲ・クッタ(Runge-Kutta)法に基づく自動刻み幅数値積分法において,刻み幅調整に用いられる推定打切り誤差を細胞ごとに求めることにより,細胞単位で局所的に刻み幅を調整する改良法を提案した.種々の計算条件で従来の汎用アルゴリズムと改良法を比較した結果,改良法の計算量は従来法に対して1次元心室筋細胞ネットワークで約半分,2次元モデルでは1/2〜1/5,3次元モデルでは1/4〜1/12程度に減少した.この場合の活動電位波形はほとんど一致し,伝搬速度や活動電位最大立上り速度などの特徴量は,従来法に対して0〜0.2%の相対誤差で得られた.改良法は,3次元モデルなど大規模細胞ネットワークモデルのシミュレーションに有効と考えられる.
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-10-25

Hodgkin-Huxley型細胞ネットワークモデルのシミュレーションにおける自動刻み幅数値積分法の改良

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