3次元細胞ネットワークモデルによる心筋興奮伝搬過程の定量的解析

概要

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心筋組織における興奮伝搬過程を解析する上で,活動電位のの最大立上り速度(V_<max>)は最も重要な特徴量の一つと考えられている.本論文では,単一心室筋細胞モデルをgapコンダクタンスにより離散的に結合した3次元興奮伝搬モデルを構築し,心筋組織の複雑な3次元構造が,興奮伝搬特性,特にV_<max>に及ぼす影響を調べた.すなわち,隣接細胞とのgap junctionを介した結合数(接続細胞数)が6,8,10の3種類の3次元モデルを用いて興奮伝搬シミュレーションを行い,V_<max>の異方向性(活動電位の伝搬方向に依存して伝搬特性が変化する現象)およびその定量的特性に着目して生理実験結果との比較・検討を行った.その結果,接続細胞数の増加に伴ってV_<max>が実験結果に近づくことがわかった.更に,3次元10接続モデルは,接続細胞数などのモデル構造が実際の心筋組織の構造との対応がよく,異方向性を含め興奮伝搬過程のV_<max>に関する生理実験結果を初めて定量的に説明できることを明らかにした(細胞長軸方向:294.4V/s,短軸方向:330.6V/s).
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-09-25