72. 尿中血液凝固促進物質(UP)の腎内局在 : 免疫組織化学的観察

概要

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尿中血液凝固促進物質(UP)はヒト尿から精製された分子量14〜15万を最小単位とする糖蛋白で, 組織トロンポプラスチンの一種と考えられている。その活性は腎障害時に著減することから, われわれはUPに対する特異抗血清を用いてその腎組織内局在の検索を行った。方法 : 手術的に部分切除された腎結石患者の腎組織片を直ちに凍結または冷95%エタノールあるいはZamboni液で固定後, 凍結切片およびパラフィン切片を作成し, 松田, 青木らによって作成された抗UP血清(UP活性を75%阻害)を用いて螢光抗体法および酵素抗体法間接法を施行した。対照染色として一次血清に非免疫血清ないしは抗原吸収抗血清を用いて反応を行った。結果 : UPは主にHenle係蹄を含む遠位尿細管の上皮に分布し, 一部Bowman嚢上皮も陽性を示したが, 糸球体および近位尿細管は全く陰性であった。遠位尿細管上皮内では, ほゞ均等に細胞質が陽性を示す部分もあるが, 多くは管腔側に偏在する傾向が認められた。また一部に存在する尿円柱も強く陽性を示した。以上の染色結果は標本作成法の間で大きな差を示さなかったが, 95%エタノール固定の凍結切片が最も強い陽性を示した。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20