泌尿器悪性腫瘍の診断における尿Basic fetoprotein(BFP)の意義

概要

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健常者34名,良性泌尿器疾患106名,尿路***悪性腫瘍患者104名の尿中basic fetoprotein(BFP)をモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ酵素免疫法によって測定し,臨床的意義を検討した.健常者34名の尿BFPはきわめて低く,mean±SDは2.75±2.27ng/mlであった.健常者の値と悪性腫瘍患者の診断効率が最も高くなる条件から,尿BFPのcut off値を15ng/mlに設定した.良性泌尿器疾患患者の陽性率は17.0%で,一方悪性腫瘍患者では陽性率は膀胱癌(52例)が51.9%,腎孟尿管癌(8例)が75.0%と高く,前立腺癌(20例)が25.0%,腎細胞癌(21例)が19.0%と低かった.尿路上皮癌(膀胱癌および腎孟尿管癌)60例の尿BFPは,浸潤癌が表在癌より有意に(p<0.05)高値を示し,また異型度の高い癌ほど高値を示した.陽性率は浸潤癌症例が78.9%,grade3の症例が66.7%であった.尿細胞診を同時に施行した44例では,細胞診単独での診断率38.6%が尿BFPの測定を加えることにより81.4%に向上した.以上より,尿BFPは尿路上皮癌の診断に有用であると思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-06-20