腹膜外操作による単孔式尿管皮膚瘻造設術

概要

論文の詳細を見る
従来,成人に対する単孔式尿管皮膚瘻造設術はおおむね経腹膜的に行われてきた.しかし,尿管皮膚瘻の適応とされる症例の多くは全身状態が不良であり,経腹膜的手術は躊躇される.そこでわれわれは腹膜外操作による単孔式尿管皮膚瘻造設術を13例の症例に施行した.尿路変更を必要とした理由は膀胱膣瘻が7例,上部尿路閉塞が4例,膀胱直腸瘻および術後屈瘻が各1例であった.全例が悪性腫瘍に対する経腹膜的手術の既往を有していた.まず左側腰部切開または傍腹直筋切開にて乏尿管を求める.次いで用指的に後腹膜腔に右側に向かって間隙を作製し,乏尿管下端をこの間隙に留置する.左側の術創を閉じ,右傍腹直筋切開にて後腹膜に達し,右尿管とともに乏尿管を求める.尿管皮膚瘻の作製は交叉性尿管吻合,double barrel式尿管皮膚瘻その他によった.平均所用時間および平均術中出血は119分および210グラムであった.術中術直後の合併症としては術中不整脈および後腹膜からの出血を各1例に認めた.13例中9例は術後4日以内に経口摂取が可能となった.われわれの報告した腹膜外式の単孔式尿管皮膚瘻造設術は術創が2カ所になり,また後腹膜の操作がやや困難という欠点がある.しかし腹膜を開かないため,経腹膜的手術の既往を有する患者においても,単礼式の尿管皮膚瘻を造設することが可能であり,術後一定期問以上の生存が期待できる症例に対しては有用な方法と考えられる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-05-20

腹膜外操作による単孔式尿管皮膚瘻造設術

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク