International Prostate Symptom Score日本語訳の再現性と一次元性の検討

概要

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(背景)International Prostate Symptom Score(IPSS)は,前立腺症状を有する患者の,自覚症状評価基準として既に多くの国で使われている,7つの質問と6つのカテゴリーからなる自記式質問紙である。我国でもその日本語訳を日常の臨床場面で用いているが,日本語訳についての再現性,妥当性は未検討である。我々はIPSS日本語訳の再現性と一次元性を評価することを目的として調査研究を行った。(対象と方法)64名の前立腺肥大症患者を対象に,初回調査は病院,再調査は自宅にて自記式質問紙調査を行い,再現性と一次元性について検討した。(結果)重み付きκ値はほとんどの項目で低く(0.10-0.75),再現性は低いと判断された。その理由として,日本語訳の理解が必ずしも容易でないこと,慢性化した症状について,その頻度の把握は対象者本人にとって暖昧なため回答しにくい,ということが示唆された。また,主成分分析の結果その因子構造から,「夜間頻尿」は他の項目とは異なった概念をあらわしている可能性が考えられ,一次元性についても疑問が生じる結果となった。(結論)今後は,日本語訳を改良し,再現性を確認した上で,一次元性についても再度検討が必要と考えられる。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-12-20