薬剤性腎障害時の尿中および腎組織内γ-GTPの推移
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概要
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薬剤性腎障害,とくに近位尿細管障害をきたす薬剤である抗癌剤シスプラチン(CDDP),β-ラクタム系抗生剤セファロリジン(CER)およびアミノグリコシド系抗生剤ゲンタマイシン(GM)投与時の尿中および腎組織内γ-GTPの推移を検討し,腎障害の発症と経過を考察したFischer 344雄性ラットに,LD_<50>の75%濃度のCDDP(7mg/kg),CER(2,000mg/kg)およびGM(500mg/kg)を腹腔内投与し,投与後12時間,1,3,7,14日目にそれぞれ採血,採尿,最後に腎を摘出した.得られた各検体により血清Cr値,Ccr,尿中および腎組織内γ-GTPを測定し,あわせて腎の組織学的検討も行った.血清Cr値の上昇とCcrの低下は,CDDP投与群で3日目,CER投与群で12時間目に始まり,前者は7日目,後者は3日目がピークであった.尿中γ-GTPの変動は,血清Cr値やCcrの変化より早期におこり,各薬剤とも投与後12時間目から尿中逸脱を認めた.しかし,尿中γ-GTPのピークは薬剤により異なり,CERは投与後12時間以内,GMは24時問後,CDDPは3日後であった.腎組織内γ-GTPはCDDPとCER投与群で対象群の約40%の低下を認めた.腎組織像では,CDDP投与群が皮髄境界外側部,CER投与群が皮質表層部の近位尿細管で障害が強く,GM投与群は大きな変化はなかった.これらの結果から,尿中γ-GTPは薬剤による近位尿細管障害を鋭敏に反映する指標になりうると考えられた.
- 1993-07-20
著者
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