核小体形成体の尿細胞診への応用とその画像解析の試み

概要

論文の詳細を見る
銀コロイド染色法を用いて各種尿路***疾患患者の尿中剥離細胞における核小体形成体関連タンパク(AgNOR)の臨床的意義を検討した。自排尿・膀胱洗浄の塗抹標本と摘出組織の捺印標本の比較検討において1細胞該当たりの平均AgNOR数の相関係数はr=0.7658,最多AgNOR数ではr=0.8891と両者の間には有意の相関関係が認められた(p<0.01)。各疾患の尿中剥離細胞における平均AgNOR数は非感染性良性尿路疾患3.33±0.60,感染性良性尿路疾患3.88±0.58,移行上皮癌ではG1 5.23±1.39,G2 6.34±0.86,G3 8.09±1.19と,移行上皮癌では良性尿路疾患例に比べ,高値を示すとともに,異型度の進展にともない,高値を示す傾向が認められた。また最多AgNOR数においても,ほぼ同様の傾向が認められ,8個以上のAgNOR数を有する細胞の出現頻度は非感染性良性尿路疾患11%,感染性良性尿路疾患13%,移行上皮癌G1 67%,G2 88%,G3 100%であった。さらに顕微鏡での目視による平均AgNOR数と2値化画像に基づく画像解析装置によるAgNOR数の問には相関が認められ(p<0.05),画像解析により得られたAgNOR数,1細胞該当たりのAgNORの総面積および度数による3次元ヒストグラムにおいて,移行上皮癌ではAgNOR数および総面積は異型度に伴い,より不均一となり,平坦な分布パターンを示した。以上,尿中剥離細胞のAgNOR数測定は膀胱癌の診断の一助として有用で,さらに画像解析装置を用いた自動解析により迅速で,客観的な評価も可能と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-09-20

核小体形成体の尿細胞診への応用とその画像解析の試み

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク