Double Balloon Catheterによる死体内局所的腎灌流法の実験的観察及び臨床応用

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稲垣らが考案したdouble balloon catheterを用い,5匹の雑種成犬で死体内局所的腎灌流冷却実験を行ない,その腎保存効果を犬同種腎移植実験で確認した.その結果,1)腎皮質温度は1〜2℃の灌流液で20ml/kg/minで灌流を行なうと,灌流60分後には,9.18±1.50℃迄低下した.2)60分潅流後腎を摘出し,両側尿管結紮で自己腎機能を消失せしめた雑種成犬に同種腎移植を行なったところ,5例中4例に,術後4日目の腎盂造影で造影性を示すと共に,平均生存日数も12.0±3.46日と生存日数の延長を認めた. double balloon catheterによる死体内局所的腎灌流冷却法を,臨床的に3例の死体腎摘出症例に応用した.その結果,1)灌流を動物実験で採用したpump法によらず点滴法で行ったため,灌流速度は2ml/kg/min程度にしかならなかった.2)3症例中,各1腎ずつ,各々移植後16日目,17日目,12日目に利尿がみられ,血液透析を離脱し得た.しかし各々の対側腎は2腎が拒絶反応で腎摘を余儀なくされ,1腎は複数腎動脈のため廃棄されている.以上double balloon catheterを使用しての死体内局所的腎灌流冷却法の有効性を実験的,臨床的に確認したが,今後更に大量の冷却灌流液の送液が可能な装置が開発され,臨床的に応用されるようになれば,本法の腎保存効果が一層期待できるものと思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

Double Balloon Catheterによる死体内局所的腎灌流法の実験的観察及び臨床応用

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