腎移植患者の精液中のCiclosporin濃度の検討

概要

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ciclosporin(CsA)投与をうけている8例の成人男子腎移植患者の精液中のCsA濃度を検討した.患者は24歳から47歳で,腎移植後5ヵ月から63ヵ月経過しており,免疫抑制剤はCsAとprednisoloneの2剤またはCsA,azathioprineそれにprednisoloneの3剤の併用であった.検査時のCsAの投与量は1日あたり3.7〜5.0mg/kgであり,血清クレアチニン値は1.1〜2.9mg/dlであった.精液は5日間以上の禁欲後,CsA服用前に用手法にて採取した.8例の患者から12検体を得,そのうちの4検体については精漿中のCsA濃度をも測定した.また,精液採取直後に採血し,全血中のCsA濃度を測定した.CsAの濃度は高速液体クロマトグラフィーにて測定した.精液中のCsA濃度は27ng/mlから296ng/ml(平均106.0±74.5ng/ml)であり,全血中のCsA濃度は42ng/mlから157ng/ml(平均84.8±33.9ng/ml)であり,両者間には相関関係がみられた(r=0.68,p<0.05).精奨中のCsA濃度は精液中の濃度とほぼ同じ値であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-10-20