死体腎移植後の透析期間の検討 : 2施設における同一Donorからの症例の比較

概要

論文の詳細を見る
滋賀医科大学腎移植斑と京都府立医科大学第二外科学教室で,1983年1月から1988年9月までに施行した死体腎移植症例のうち,両施設で同一の腎提供者からの移植で,透析を離脱できたのは13症例ずつであった.この症例について,移植後の透析期間に係わる因子の検討をおこなった.透析期間は,滋賀医科大学では0〜39日(平均25.8±12.0日)であり,京都府立医科大学では0〜53日(平均17.8±18.6日)であり,滋賀医科大学の方が長い傾向がみられたが,両施設の透析期間に有意な差は認められなかった.総阻血時間は滋賀医科大学では60〜1,085分(平均554.4±317.7分)で,京都府立医科大学では146〜1,200分(平均410.6±296.0分)であり,有意に滋賀医科大学において長かった(p<0.(〕5).受腎者の年齢,透析歴,それにHLA適合度には有意な差がみられなかった.症例数は少ないが、今回の検討結果から,総阻血時間は死体腎移植後の透析期間に係わる因子でありうると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-10-20