泌尿器科手術における術中回収式自己血輸血の応用に関する実験的検討

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同種血輸血による副作用や合併症を回避するために自己血輸血が注目されているが,泌尿器科手術において術中回収式自己血輸血はあまり普及していない。その理由として,術野に尿が混じることや,細菌による汚染,さらに腫瘍細胞の混入により,吸引液から回収式システムでこれらを分離できるかどうかといった問題があるためと考えられる。そこで今回,これらの問題に対して実験的に検討した。まず,血液と尿を混ぜ,回収式システムで処理して得られた洗浄赤血球液の生化学的検査では,尿成分は完全に除去されていた。つぎに,4種類細菌(Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae,Pseudomonas aeruginosa,それにProteus vulgaris)を200mlの尿に加え菌数を10^7/mlと10^5/mlに調整し,200mlの血液と混ぜた。この混合液を回収式システムで処理し,得られた洗浄赤血球液を細菌学的に検討した。歯数は減少していたものの,4種類の菌は洗浄赤血球液で検出された。腫瘍細胞の分離に関しては,細胞種としてKK47とACHNを用い,それぞれ細胞数を10^7に調整して200mlの尿と200mlの血液に加えた。回収式システムで処理し,得られた洗浄赤血球液の細胞診検査をおこなった。両細胞種とも,洗浄赤血球液中に腫瘍細胞が検出された。以上の結果から,泌尿器科手術において細菌尿や腫瘍細胞が術野に混入する口下能性がある症例には,術中回収式自己輸血システムを使用すべきではないと考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-12-20

泌尿器科手術における術中回収式自己血輸血の応用に関する実験的検討

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