腎移植と抗リンパ球抗体 : 第2報移植後出現する抗体と急性拒絶反応の関係について

概要

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45例の one haplo type matchingの生体腎1次移植症例について移植後出現する抗リンパ球抗体を B-cold, B-warm, T-warmの各抗体に区別して検索し, これらの抗体と acute rejectionの発症, 予後との関係について分析, 検討を行なった.その結果, acute rejectjonの発症を予知するという点に関しては, 抗リンパ球抗体の診断的価値はあまり認められなかった.一方 rejectionの予後を予測するという点に関しては, accelerated rejectionの場合は抗体検出率が低く, やや性質を異にしていたが, それ以外の rejectionでは, その発症前に No antibodyであるか, B-cold patternで, 発症後も同様の状態が続くか, B-cold抗体を伴った B-warmあるいは T-warm抗体が検出される場合, 移植腎が 1年以内に機能喪失に陥る頻度は13.3%と良好であったのに対して, rejection発症前の抗体の何如にかかわらず, rejection発症後 B-cold抗体を伴わずに B-warmあるいら T-warm抗体が検出される場合, 1年以内の機能喪失率は87.5%と不良であった.これらの結果より抗リンパ球抗体がそれぞれの種類により異なった影響を acute rejectionの経過に及ぼしている可能性が強いことが判明した.従って, これらの抗体を移植後検索することは, rejectionの予後を予測する上で非常に有力な診断法であると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1983-07-20

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