ヒト顎下・舌下腺唾液ムチンの精製
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概要
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4Mグアニジン・塩酸を含む緩衝液を用いたセファデックスG-200及びセファローズCL-2Bゲル濾過法により, ヒト顎下・舌下腺唾液から高分子量ムチン(HMM)が精製された.精製HMM標品はムチン以外の唾液タンパク質成分を含まず, 高純度のものであることが示された.その化学組成はタンパク質18.2%, 糖質79.5%(GalNAc, GlcNAc, Fuc, Gal, NANA), 及び硫酸基2.3%であった.ゲル電気泳動において, HMMは分離用ゲルに進入できず, 濃縮用ゲルにのみシルバー及びPAS染色陽性物質が検出された.ところが, 2-メルカプトエタノールにより還元された標品の電気泳動に際しては, 濃縮用ゲル中に存在する分子とともに, 分子量約12万の物質があらたに検出されるようになり, HMMはS-S結合を介して結合した, 少なくとも二種のサブユニットから成ることが示唆された.この12万分子量成分は電気泳動法を利用して単離され, 40%のタンパク質と60%の糖質(GalNAc, GlcNAc, Fuc, Gal, Man)より成ることが示された.その分子量とアミノ酸組成は, 胃腸組織の粘液から得られたムチンの"結合タンパク質"のものと類似していた.このことは, 唾液ムチンのサブユニット構造が他の粘液ムチンのものと類似していることを示唆するものである.
- 九州歯科学会の論文
- 1988-04-25
著者
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