ロマン主義論争とその周辺
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概要
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イタリアのロマン主義の開始はStael夫人が《Biblioteca italiana》に一篇の論文《Sulla maniera dell'utilita delle traduzioni》を寄稿した1816年とされている。《Biblioteca italiana》-オーストリア政府の支援のもとに創刊された古典派、保守派の拠点と見做される雑誌にStael夫人と云う《ドイツ論》によって知られる外国人ロマン主義者の論文が掲載された1816年イタリアロマン主義の開始期そのものとなった事は、それ自身希有な文学史上の事実であろうが、その驚きは此の論文の掲載を委嘱した人物が他ならぬ同誌編集者の一人Pietro Giordaniであったことによって一層増幅されることになる。Giordaniは著名な古典主義者でStael夫人の原稿掲載を依頼した上に、夫人の論文のイタリア語訳をも担当している。翻訳に着手した時点でも、GiordaniはStael夫人の論文がいかなる反響をよび、文学史にロマン主義到来の時を刻む歴史的な結果をこの論文が招来するなどとはもちろん思いいたるところではなかった。ただ一つ言えることは、Stael夫人とGiordaniとはお互いを或る種の共通認識の上に立ってみとめ、相反するイデオロギーの所有者に対して、イデオロギー的には承認しがたい立場に立つ雑誌に投稿を勧めたことである。
- イタリア学会の論文
- 1990-10-20
著者
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