ターン交代規則の破綻例の会話の含みによる説明の試み
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概要
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音声対話の秩序は、「ルール」によって表現することが可能とされている。たとえば、「相手が話し終わったときには、自分に話し始める権利が生じる」というルールであるが、これらのルールが、音声対話に関する現象を一般化したものか、話し手/聞き手の推論過程をモデル化したものか、あるいは、この両者の相互作用も含めて記述したものかについては十分な検討がなされてはいない。この報告では、まず、現在発話者の交代に関するルールとして理解されているSacks、Schegloff、Jeffersonによる話者交代に関するルールの性質を検討する。このルールによると予測が困難だが、日本語地図課題対話において実際に頻繁に観察される「オーバーラップ」現象(相手話者発話中の発話開始現象)は、この話者交代の理論の破綻例だと考えられる。次に、これらの現象を説明するために、Griceの強調原則に基づく会話の含みの理論が、その一部について有効であることを示す。会話の含みの理論で定式化されている含まれたことが、相手話者の発話の途中までに言われたことから推論可能である場合に、相手話者発話中であっても発話を開始することがある、という説明である。しかし、聞き手側の推論のルールとして定式化されているこの会話の含みの理論も「ルール」として表現されているので、最初にその性質を解明した話者交代のルールとの間の概念上の比較検討を行い、これらのルールの統合に必要となる理論構成について考察し、最後にこれらのルールを統合しても説明できない現象が存在することを指摘する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1999-12-20
著者
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