多重検出器型誘導結合プラズマ質量分析法による高精度鉄同位体分析のための直接加熱型脱溶媒試料導入装置の開発
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)による高精度鉄同位体分析を行うための脱溶媒試料導入装置の開発を試みた.従来の試料導入法では, 溶媒とプラズマに由来する分子イオン(^<54>ArN^+, ^<56>ArO^+及び^<57>ArOH^+)が鉄に対して質量スペクトル干渉し, 鉄の高感度・高精度同位体分析が困難であった.本研究では, ネブライザーから噴霧された試料エアロゾルを160℃に加熱し, メンブランフィルターにより溶媒蒸気を除去することでICPイオン源に導入される溶媒の量を抑え, 鉄に対する質量スペクトル干渉の低減を図った.従来の脱溶媒では, メンブランフィルターを介して試料エアロゾルを加熱する方式が用いられてきたが, 本研究では, 試料エアロゾルを直接加熱し, メンブランフィルターにより溶媒除去を行った.これにより, エアロゾルの加熱効率が改善され, 従来の10分の1の長さのメンブランフィルターで溶媒除去が可能となり, 装置の小型化が図れた.更に, 試料溶液の洗浄時間(washout time)が2∿3分程度にまで改善され, 通常の溶液試料導入系(同軸ネブライザーとスプレーチャンバーの組み合わせ)と同等の試料処理能力が達成できた.また, 本研究で試作した試料導入装置を多重検出器型ICP-MSに応用し, 鉄標準溶液を分析したところ, ^<56>Fe/^<54>Fe同位体比測定の繰り返し再現性として0.04%(2σ, n=5)が得られ, 地球化学試料への応用が期待できる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2005-05-05
著者
-
平田 岳史
東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻
-
平田 岳史
東工大
-
平田 岳史
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
-
高下 一太郎
東京工業大学大学院理工学研究科
-
高下 一太郎
東京工業大学大学院理工学研究科:(現)日本分光株式会社uv
-
平田 岳史
京都大学大学院理学研究科
-
平田 岳史
京都大学大学院 理学研究科
関連論文
- 日本最古の堆積岩年代472Ma(オルドビス紀前期末)とその意義 : ―飛騨外縁帯一重ヶ根層のジルコンU-Pb年代―
- 南部北上帯古期岩類のLA-ICP-MS U-Pbジルコン年代
- 誘導結合プラズマ質量分析法における元素定量及び同位体分析技術の進歩とその地球化学への応用
- 西南日本外帯,熊野酸性岩類に含まれる赤色・無色・灰濁色ジルコンのU-Pb年代および微量元素組成と珪長質マグマの成因(紀伊半島における中新世火成作用とテクトニクス)
- 単一検出器型高分解能誘導結合プラズマ質量分析装置を用いる穀物のストロンチウムと鉛の同位体比分析
- レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析法による地球化学試料の微量元素分析
- LA-ICP質量分析法を用いた微量元素の測定(一般講演13,平成15年度宝石学会(日本)特別講演及び一般講演論文要旨)
- ゴールドシュミット国際会議「ICP質量分析計ショートコース」
- O-214 ざくろ石中のLuおよびHfの分布 : Lu-Hf年代解釈における重要性(24.深成岩及び変成岩,口頭発表,一般講演)
- O-228 三波変成作用のピーク年代 : Lu-Hf法によるエクロジャイト年代(20.変成岩とテクトニクス,口頭発表,一般講演)
- レーザーアブレーションICP-MSによる西オーストラリア, ノースポール地域の太古代酸性貫入岩・火山岩類のジルコンU-Pb年代
- O-43 南中国三峡地域の地層に保存されたSr同位体比変動から読みとるエディアカラ紀の表層環境変動(5.後生動物の進化と絶滅史,口頭発表,一般講演)
- 四国中央部,三波川帯と四万十帯のテクトニクス境界
- P-122 日本最古の陸棚正常堆積層(19.テクトニクス,ポスター発表,一般講演)
- P-137 チリ・タイタオ半島花崗岩の地球化学的特長(20.深成岩・火山岩とマグマプロセス,口頭およびポスター発表,一般講演)
- S-38 原生代末期全球凍結からカンブリア紀における表層環境と生命進化 : 化学層序と分析古生物学研究((4)ゴンドワナ大陸の誕生と表層環境変化,及びカンブリア紀の生物の爆発的進化,口頭発表,シンポジウム)
- O-16 川砂ジルコンの年代頻度から見積もる大陸地殻成長(2.地球史とイベント大事件-2,口頭およびポスター発表,一般講演)
- O-100 西南日本外帯,中期中新世花こう岩類の成因 : スラブ溶融の可能性について
- O-206 フェムト秒レーザーアブレーションICP-MSを用いたジルコンのU-Pb年代分析(19.深成岩・火山岩とマグマプロセス,口頭発表,一般講演)
- 単一検出器型高分解能誘導結合プラズマ質量分析装置を用いる穀物のストロンチウムと鉛の同位体比分析
- 西南日本外帯,中期中新世花崗岩類のジルコンREE組成とマグマ成因--スラブ溶融の可能性について (総特集 花崗岩研究の最前線--花崗岩成因論の新地平をめざして) -- (新手法・新視点による花崗岩の解明)
- 12-5 ストロンチウム同位体比と無機元素濃度によるタマネギの国内主要産地の判別(12. 農産物の品質・成分, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 金属試料の微量成分分析に有力なレーザーアブレーション技術
- 地球化学試料
- 多重検出器型誘導結合プラズマ質量分析法による高精度鉄同位体分析のための直接加熱型脱溶媒試料導入装置の開発
- A60 ハワイマントルプルームの化学的構造
- ストロンチウム同位体比を用いたタマネギの産地判別方法の検討(12. 農産物の品質・成分, 2004年度大会講演要旨集)
- 2-19 土壌中のストロンチウム同位体比について(予報) : 水田土壌と玄米中のストロンチウム同位体比の関係(2.土壌有機・無機化学)
- 同位体比分析 同位体比を測るための分析法
- 同位体比データの評価
- O-47 原生代後期、南中国Weng'an地域の微化石の生層序と微小化学分析(5.後生動物の進化と絶滅史,口頭発表,一般講演)
- P-148 レーザーアブレーションICP質量分析装置を用いたインド南部Achankovil Shear Zone産グラニュライトのジルコンU-Pb年代測定(24.深成岩及び変成岩,ポスター発表,一般講演)
- 微量元素同位体分析法の開発 (特集/最先端科学を拓く質量分析)
- 月例卓話 高精度同位体分析技術の開発とその海洋化学への応用
- 単一検出器型高分解能誘導結合プラズマ質量分析装置を用いる穀物のストロンチウムと鉛の同位体比分析
- 日本列島の古地理学 : ―砕屑性ジルコン年代頻度分布と造山帯後背地の変遷―
- セクター型ICP質量分析計による地球化学試料の同位体分析
- 質量分析法による新しい年代測定法の開発(地球外物質の分析)
- 隕石の化学(高校地学を化学する)
- 地球の核形成のタイミングについて
- 同位体分析に基づく高精度年代学〜Hf-W年代測定法による地球・月の進化(月の起源と進化)
- ICP 質量分析計による微量元素同位体分析 : Rolling stone gathers no moss
- マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析法による高精度同位体分析のための同位体差別効果の補正法(質量分析法の応用技術)
- 4)最先端分析機器開発の全地球史解読へのインパクト(B.全地球史解読計画:その戦略と見通し)
- ICP質量分析計による微量元素同位体分析 : Rolling stone gathers no moss(1995年度日本地球化学会奨励賞受賞記念論文)
- ゴールドシュミット国際会議「ICP質量分析計ショートコース」
- レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法が切り開く超微量元素分析
- 巻頭言
- P-63 南中国のペルム紀末凝灰岩の特徴(12. 年代層序スケール,ポスターセッション,一般発表)
- 306 固体撮像素子AMIを用いた同位体顕微鏡の開発(セッション3)
- 日本最古の堆積岩年代472Ma(オルドビス紀前期末)とその意義 : 飛騨外縁帯一重ヶ根層のジルコンU-Pb年代
- 南部北上帯古期岩類のLA-ICP-MS U-Pbジルコン年代
- プロト伊豆-マリアナ島弧の衝突付加テクトニクス : レビュー
- 日本列島の古地理学 : 砕屑性ジルコン年代頻度分布と造山帯後背地の変遷
- Evaluation of fission-track and U-Pb double dating method for identical zircon grains:
- 東北日本,日立地域からの新たな砕屑性ジルコン年代とその意義
- 東北日本, 日立地域からの新たな砕屑性ジルコン年代とその意義
- ミネラルウォーターのウラン・トリウム濃度