ジルコニウム共沈濃縮法を用いる天然水中のリンの原子吸光分析

概要

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天然水中の低濃度のリン酸イオンを共沈濃縮し,原子吸光法でリンを定量する方法を研究した.共沈濃縮操作は1000cm^3以下の試料水にジルコニウム溶液を加え(ジルコニウムとして10〜20mg),pHを約8とした.沈殿を分離後,1mol dm^<-3>の硝酸に溶かし2cm^3ないし5cm^3として黒鉛炉原子吸光法でリンを定量した.この方法で10μg以下のリンを含む試料水50〜1000cm^3(リンの濃度0.2〜0.01μg cm^<-3>)を2cm^3に,定量的に濃縮することができた.天然水をジルコニウムで共沈濃縮すると他のイオンも同時に濃縮され,原子吸光法でのリンの定量を妨害する.そこで鉄(III),カルシウム(II)などの陽イオンは,陽イオン交換樹脂で処理することで除去した.ケイ素(IV)の妨害は,水酸化ジルコニウムの沈殿をフッ化水素酸に溶かし蒸発乾固することで除去した.本法を水道水と井戸水に適用したところ,定量値はモリブデンブルー吸光光度法で得られたものとよく一致した.
社団法人日本分析化学会の論文
1986-02-05