昇温効果を利用したベンザルコニウムの選択的抽出分光光度定量
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概要
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一塩基酸色素テトラブロムフェノールフタレインエチルエステル(TBPE)はオニウム系医薬品の抽出分光光度定量には至適pH領域が広く,感度も優れているが,4級アンモニウム塩とアミン類は微量でさえ相互妨害を与える.この点を補う方法として2,6-ジクロロフェノールインドフェノール法やピクリン酸法が検討されたが感度的に劣る.そこでTBPEを用い,相互妨害を抑制する方法を検討したところ,TBPE-R_3N系においてのみサーモクロミズムがあることが分かり,この現象を利用して妨害抑制を試みた.つまり吸光度を測定する際,セル内の温度を約60℃に昇温するとTBPE-R_3Nの赤色の呈色種のみ滅少がみられ,一方TBPE-R_4Nの青色の呈色種の吸光度にはほとんど減少がみられないことから,測定時における昇温効果を利用することにより,4級アンモニウム塩に対するアミン類の妨害はかなり抑制され,しかも感度よくべンザルコニウムを定量でき,実用性も高いと思われる.べンザルコニウムの濃度が5×10^<-7>M〜2.5×10^<-6>M(0.177mg/1〜0.885mg/l)の範囲で直線関係が得られ,60℃におけるモル吸光係数は7.3×10^4mol^<-1>cm^<-1>lであった.
- 1978-07-05
著者
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石田 典子
岐阜歯科大学化学教室
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酒井 忠雄
岐阜歯科大学化学教室
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酒井 忠雄
College of Liberal Arts, Asahi University
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酒井 忠雄
岐阜歯科大学
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酒井 忠雄
College Of Liberal Arts Asahi University
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酒井 忠雄
Department Of Chemistry Gifu College Of Dentistry
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