重油のエストロゲン作用とその評価法 (<特集>環境ホルモンと分析化学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
エストロゲン作用の新しいin vitroアッセイ法として, ヒト乳がん由来MCF-7細胞におけるプロゲステロン受容体(PgR)の発現量を指標とする方法を提案し, 現在最もはん用されてぃるE-Screenアッセイ法と比較するとともに, C重油のエストロゲン作用を検討した. 試料としては, 重油のエタノール抽出物を用いた. PgRの発現量をウエスタンブロット法で測定したところ, 17β-エストラジオール(E_2)処理によりPgRの発現量が高まり, 更にE_2アンタゴニストであるタモキシフェンの処理を加えるとPgRの発現量は減少した. E-Screenアッセイにおいても, E_2及びタモキシフェン処理に対して類似の応答を示し, PgR発現量がエストロゲン作用の良い指標であることが明らかになった. 次に, 重油抽出物のエストロゲン作用について検討した. E_2非存在下では重油抽出物の処理でわずかながらPgRの発現量が高まったが, E_2存在下ではPgRの発現量は減少した. 以上の結果から, 重油中には弱いエストロゲン作用を示し, E_2アンタゴニストとして作用する化合物が含まれることが明らかとなった. また, 重油抽出物の処理では死細胞数の増加が観察された. 重油や環境試料のように細胞死を引き起こす成分を含む可能性がある試料については, 本研究のPgRの発現量を指標とする方法が適していると考えられた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-06-05
著者
-
木津 良一
金沢大学薬学部
-
早川 和一
金沢大学薬学部
-
木津 良一
同志社女子大学薬学部
-
Kizu Ryoichi
金沢大学 自然科学研究科
-
Kizu R
Faculty Of Pharmaceutical Sciences Kanazawa University
-
加藤 詳子
金沢大学薬学部
-
薄井 修
金沢大学薬学部
関連論文
- P-11 金沢市の大気中多環芳香族炭化水素及びニトロ多環芳香族炭化水素の長期変動(1997年-2008年)(ポスター発表)
- 吸光度検出イオンクロマトグラフィーによる輸液中の無機イオンの定量(医薬品の分析)
- PAH,NPAH,変異原性および活性酸素種生成能から見た北九州と鉄嶺の大気汚染比較
- P-91 光反応により生成する大気粒子中新奇ニトロピレン水酸化体の同定および定量(ポスター発表)
- P-12 能登半島における大気中多環芳香族炭化水素及びニトロ多環芳香族炭化水素の季節変動とその要因(ポスター発表)
- P-101 中国の上海,瀋陽における大気粉じん中多環芳香族炭化水素の比較(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- P-97 大気浮遊粒子中2-ニトロフルオランテン光分解生成物の分析(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- P-96 光酸化反応によって生成するニトロピレン水酸化体の大気内動態(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- 東アジアの有害大気汚染 : 多環芳香族炭化水素とニトロ多環芳香族炭化水素
- GC-MSを用いた大気中多環芳香族炭化水素酸化物の分析法開発に関する基礎検討